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こん流「銘柄選び」のチェックポイント
――銘柄選びの方法を教えていただけますか?
基本的には、SNSや投資関連の書籍、YouTubeなどで紹介されている銘柄のなかから、株探やマネックス証券の銘柄スカウターで財務状況や配当金の推移を確認して、投資対象とする銘柄を決めています。配当性向は低いのか、連続増配なのか、といった点もチェックします。
株主還元に力を入れている企業は、決算資料に株主還元に関する説明を掲載している企業が多いように思います。そのため、決算資料を確認して、株主還元についての記載がない企業の場合は、投資対象から除外する場合もあります。
著名な投資家やインフルエンサーの方々が紹介されている銘柄もありますが、この先も利益を積み重ねて増配していけるかどうかを最終的に判断するのは自分です。しっかりと自分で見極めて投資するようにしています。
・財務状況や配当金の推移
・配当性向、連続増配
・決算資料に株主還元に関する説明があるか
――日本株以外への興味はいかがでしょうか。
本格的に高配当投資を始める前は、米国株にも投資していました。米国株はキャピタルゲインを目的にマイクロソフト(MSFT)やアップル(AAPL)などの銘柄に投資していました。ですが、2021年末の段階で米国の利上げが始まることが予想されていたので、この先はどうしようかと。キャピタルゲイン狙いの銘柄は、値上がりが見込めなくなってくると精神的にもストレスになりますから…。
ちょうどその頃、ジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』(日経BP)を読んだのです。その本では大型株で割安な銘柄を保有して、その配当金を再投資する手法が紹介されていました。また、ハイテク株は、成長を期待できるものの割高になりやすい傾向があることや、割安な株と割高な株では、割安な株のほうがリターンが高くなりやすいということなども書かれていました。それを読んで、「高配当株は魅力的だな」と思ったのです。
しかし、調べてみたところ、米国株には配当利回りが3%以上ある銘柄があまりないように感じました。そこで、ジェレミー・シーゲルの本に書かれているエッセンスを、そのまま日本株に置き換えて、割安かつ配当利回りが高い銘柄に投資すれば、資産が順調に増えていくのではないかと考えて、日本株での高配当株投資を本格化しました。
――米国株はすべて売却されたのでしょうか?
はい。米国株にも連続増配銘柄があるので、また投資を検討するかもしれませんが、今のところは日本株に投資したいと考えている銘柄が多いので、現状の投資資金的には日本株で精一杯かなと思っています。
過去の投資での成功体験を糧に投資へのモチベーションを維持
――会社員として子育てをしながら、投資に充てる時間やモチベーションをどのようにコントロールしていますか?
銘柄探しや情報収集、勉強は早朝と夜間の子どもが寝ている時間を活用しています。朝は6時頃に起きますが、勤務先が自宅からかなり近いのと在宅勤務の日もあるので、8時30分から9時頃までを自分の時間として使っています。夜は、子どもが寝てからなので、21時から0時頃までを使っています。
私は、好きな人と好きな時に、好きなことができることを大切にしていますし、それが最終的な目標でもあります。もちろん、日々の忙しさとか、市場が大きく下落するなどで、株を見られないというか、見たくない時もあります。そういう時は散歩などでリフレッシュするようにしています。
お金を貯めるというのは、道のりが長いことですし、時にはしんどいこともあります。そんな時は、リフレッシュして、「こんなにお金を増やすことができた」とこれまでの道のりを振り返ることで、モチベーションを保てているのではないかと思います。
――どのような媒体で投資の情報収集をしていますか?
Twitterや書籍から情報を得ることが多いですね。Twitterですと、日本株の決算速報では「ポメまる」さんの発信を確認しています。他にも、私のフォロワーさんのツイートをチェックしたり、株探で保有銘柄の情報をチェックしたりしています。
書籍もたくさん読んでいます。投資のインフルエンサーの方の著書は、視野を広げるために、自分の投資手法とは関係ないものでも読むようにしています。高配当株関連の書籍では、先述のジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』や、長期株式投資さんの『オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資』(KADOKAWA)の2冊がとても参考になりました。
失敗から得た学び、「わからないものには投資しない」
――投資に関する失敗談があれば教えてください。
過去に手放した銘柄を思い起こすと、自分がよくわからない銘柄に投資したものの、株価が買値を下回って含み損を抱えた時に、頼るものがないので損切りすることになってしまったことがあります。
当時の菅政権がスマホ料金の引き下げを目玉政策に掲げていたときに、携帯電話関連銘柄の株価が下がりましたが、当時私もNTTドコモを保有していました。含み損が膨らむのを見ながら、「なんでこの銘柄に投資したのだろう?」とよくわからなくなってしまって…。結局、損切りしましたが、その後、NTTによるTOBが発表されて株価が急上昇したということがありました。その時に、よくわからない銘柄に投資しても、すぐに手放すことになるのだなと気づかされました。
2022年から高配当株投資を始めて、含み益も大きくなってきました。そうなると、「いい買値で買えたから、売りたくない」と考えるようになる。売却すると税金を払うことになり、資産が減ってしまうので、さらに売りたくなくなる。こう考えると、長期投資のほうがいいのかなと、改めて思いますね。メンタル的にも穏やかに投資を続けることができます。
――失敗を経て、何か心がけていることはありますか?
リスクを取り過ぎないことでしょうか。株価を気にしすぎると、日常生活に支障が出てしまいますから…。それと、自分の余剰資金から、自分が納得できる銘柄に投資して、その銘柄が上がると信じてやれるかどうか。そのためにもメンタルコントロールが重要かなと思います。
株式投資は不確かなものですから、何かを羅針盤として投資するしかありません。私は、それは決算内容や会社が発表する経営計画だと思っています。そこをしっかり確認して、自分なりに納得して投資をしていくしかない。そのうえで、いかにポジティブでいられるかだと思います。そのためにも、余剰資金の範囲で、自分が許容できる範囲のリスクを取って投資するということを失敗から学びました。
資産形成は将来の選択肢を広げ、心穏やかに過ごすため
――FIREを実現された三菱サラリーマンさんの影響を受けたとのことですが、こんさんはFIREを考えていますか?
ぼんやりとは考えています。いまは立地と子育ての環境を第一に考えて、住居費にお金をかけていますが、資産が増えて、子どもも大きくなったら、今の住居環境にこだわる必要はなくなると思っています。そうなれば、自分の仕事のペースを落として、固定費を下げることも可能ではと考えています。
お金が増えれば、選択肢も増えるでしょう。このまま東京に住み続けるか、それとも故郷の九州に家族でUターンをするか、ということも少し考えています。今は東京での暮らしが楽しいけれど、40代や50代になったら、考えが変わるかもしれません。選択肢を狭めないためにもお金を増やして、好きなことができる時間を増やしていければと思っています。
――これから投資を始める、20代30代へのアドバイスをお願いします。
私たち現役世代は、投資をしなければ今の60~80代の人たちのようにリタイアすることも難しくなるのではないかと感じています。
何も考えず、ただ日々の生活に流されるだけでは、人生は逃げ切れないということにも、みんな薄々気づいていると思います。何も考えないままでは、どんどん出費も増えるし、時間も取られてしまう。だから、引き算が必要なのかなと。
私は、幸運にも20代でその事実に気づくことができました。もちろん、一生懸命働くことは大切だし、尊いことです。ただ、それだけでお金を増やそうとしたら、随分と遠回りになってしまうように思います。だからこそ、投資のはじめの一歩を踏み出すことが大事なのではないでしょうか。
一口に投資といっても多様性があります。その時々、その時代を反映した投資もあります。TwitterなどのSNSでは、投資の手法などについて言い争いが起きたりもしますが、それぞれの長所短所を認め、自分の価値観に合った投資スタイルを選んで、その航路に沿ってコツコツ続けてくださいというのが私からのアドバイスです。
――自分に合った投資の方法を選ぶことが大切なのですね。
それぞれの投資手法にはメリット、デメリットの両方がありますから。例えば、高いレバレッジを掛ければ、お金が増えるのも早いかもしれませんが、その分リスクも大きくなります。
かといって、インデックス投信の積立は、退屈だし、なかなか増えないという人もいます。それぞれ一長一短がある。それを理解したう上で、自分に合った投資を見極めることが大切だと思います。
――本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
※本インタビューは2023年5月12日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。