東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅反発となりました。70円高の29,020円と節目の29,000円を上回ってスタートした日経平均は寄り付きを安値に上げ幅を広げる展開となりました。前引け間際に239円高の29,189円まで上昇した日経平均は後場に一段高となり14時30分過ぎに312円高の29,262円まで上げ幅を広げると、その後も高値圏で推移し結局292円高の29,242円で取引を終え年初来高値を更新しています。こうしたなか新興株も高く東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

本決算を発表したJFEホールディングス(5411)が一時15.4%高となり年初来高値を更新しました。自動車向けを中心に鋼材需要の回復が見込まれるなか、鋼材の値上げが浸透し採算が一段と上向くことなどから2024年3月期の純利益が市場予想を大幅に上回る1900億円となる見通しを示したことで買いを集めました。日本製鉄(5401)や神戸製鋼所(5406)にも買いが波及し、日本製鉄(5401)が5.3%高、神戸製鋼所も5.6%高となっています。また、同じく本決算を発表した川崎汽船(9107)も9.3%高となり年初来高値を更新しました。コンテナ船運賃の大幅な下落で2024年3月期の経常利益が前期比で81.2%減となる見通しを発表しましたが、今期中に自社株買いなどで最低でも500億円以上の追加還元を実施するとの考えを示したことから大幅高となりました。

一方で本決算を発表したリコー(7752)や東邦チタニウム(5727)が大幅安となりました。リコーは印刷事業の消耗品販売や保守といったノンハード分野が減るうえ、円高想定が収益を圧迫することもあり2024年3月期の営業利益が前期比で11.1%となる見通しを示したことから6.8%安となりました。東邦チタニウムもコスト上昇以前に製造した在庫の取り崩しなどが大幅に利益を押し上げた前期の反動で2024年3月期の営業利益が前期比で57%減となる見通しを示したことから一時21.0%安となり年初来安値を更新しています。さらにユニ・チャーム(8113)も4.5%安となりました。原材料高が重荷となり第1四半期のコア営業利益が前年同期比で5.1%減となったことから大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は292円高となりました。昨日の米国市場でハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数が続伸となったことや、ドル円がやや円安となったことで買いが優勢となり節目の29,000円を上回って寄り付きました。また、好調な業績見通しや株主還元策を発表した鉄鋼株や海運株の大幅上昇を受けてセンチメントが強気に傾いたことで上げ幅を広げ2日に付けた年初来高値(29,157円)を更新しました。そのため先高期待が一段と高まりそうで、佳境を迎える決算発表を支えにどこまで水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。なお、本日も引け後には三越伊勢丹ホールディングス(3099)やダイキン工業(6367)、任天堂(7974)などが決算を発表する予定です。さらに明日は取引時間中の13時55分にトヨタ(7203)が決算を発表する予定で注目を集めそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)