今週(4月7日~4月13日)の相場動向

相場回顧 BTC:金が堅調に推移する中で30,000ドルを突破

ビットコインは、4月7日の米国株式市場が休場となり薄商いとなる中、もみ合いで推移した。同日に発表された米3月雇用統計では、市場予想を上回る雇用増加を受けて5月米連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ観測が高まったが、賃金の伸びが鈍化したことで市場の反応はまちまちとなった。

4月10日には植田日銀新総裁が就任会見でイールド・カーブ・コントロール(YCC)の継続姿勢を示し、ビットコインは円安進行により円建ての価格を伸ばした。休場明けの米国株が上昇に転じるとさらにリスク資産としての買いを強め、直近高値として意識されていたBTC=386万円(29,000ドル)を上抜けた。

4月11日にかけては金も上昇する中でBTC=399万円(30,000ドル)付近まで価格を伸ばした。国際通貨基金(IMF)が世界経済成長率を下方修正したことで景気の先行き懸念が強まり売りが強まった。しかし、金が1オンス2,000ドルを超えて推移したことや、イーサリアムの上海アップグレード後の売りを警戒する動きから、一部ではビットコインが逃避的に買われた。

4月12日の米3月消費者物価指数の発表直後にはボラティリティが高まったが、インフレ鈍化を示唆する内容を受けて堅調な値動きを維持した。4月13日明朝にイーサリアムが上海アップグレードを無事に完了し、週末にかけてはイベント通過後の安心感から買いの勢いを強めた。

 

来週(4月14日~4月20日)の相場予想

BTCはイベントを通過し買いが一層強まる可能性、ETH指標をしばらく注視

金融市場では5月の米FOMCにおける追加利上げの予想が強まっている。インフレ鈍化の兆しはみられるものの、前回議事要旨と経済指標の内容などからあと1回の利上げが適切との見方が広がっている。今後、当局者の発言によって市場が揺さぶられる可能性はあるが、利上げ停止時期の目途がついたことで、来月にかけてリスクオンの買いが強まることは考えられる。また、景気後退懸念がリスク資産相場の重しとなっているが、ビットコインについては金に並んで逃避的に買われる傾向があり、両面での買いによって堅調に推移する可能性が高いだろう。来週は日欧の消費者物価指数の発表があり、世界的なインフレ鈍化を印象づける上で内容を注視したい。

イーサリアムの上海アップグレード後の売りはまだ観測されておらず、今後しばらくはステーキング資産総額(Total Value Staked)の推移をウォッチする必要がある。一旦はイベントを通過し、暗号資産市場でもリスクオンが強まる中でアルトコインへの資金流入が増える可能性がある。その中でビットコインも価格を伸ばすことは考えられるが、直近49%まで上昇しているビットコインドミナンスが急低下した際には過熱感による売りを警戒した方がいいだろう。総じて地合いは良いと言えるが、IMF報告書でステーブルコイン規制の必要性が指摘されたように、規制動向のブレーキが入る懸念は残っている。

直近上値として2021年7月と2022年1月の底値付近であるBTC=439万円(33,000ドル)が意識されるが、同水準では相応に上値が重くなることが予想される。直近下値としては上昇前のレンジとなるBTC=372万円(28,000ドル)を意識する。