米ドル/円 週間予想レンジ:132.00~135.00

メインストラテジー:押し目買い&レンジ取引

・銀行危機の一服
・米金利は下げ過ぎ
・底割れ回避の公算が大きい

【図表1】米ドル/円(日足)
出所:筆者作成

アナリシス:

米ドル/円相場は先週大きく続落した。米シリコンバレー銀行(SBV)破綻に続き、クレディ・スイス銀行の経営不安が急浮上、リスクオフの動きが先行したため、米金利急落と共に米ドル売り/円買いが一方通行となった。131円半ばの打診もあって、年初来の上昇幅の大半を削り、3月8日の一旦高値更新自体が「ダマシ」だったことを証明した。

一方、米及びスイス当局が共に迅速な対応策を打ち出したこともあり、個別銀行の問題が金融システム全体への波及はないだろう。従って、今週は落ち着きを取り戻せる見通しであり、2008年のリーマンショックのような金融危機の再来云々という話は大袈裟だと思う。

最近米金利の動向と連動する傾向が強く、肝心の米10年国債利回り及び2年国債利回りの急落、及びそのスピードが2008年の金融危機より早かったので、やはり行き過ぎと言わざるを得ない。そのため、急落に対する修正がこれから見られる公算が大きく、米ドル全体の底割れもないだろう。

もっとも、3月8日一旦138円関門に接近したところ、ロング筋の利益確定がみられ、反落自体を速度調整との位置付けで分かりやすかったが、米シリコンバレー銀行破綻の「お騒ぎ」で一気にリスク回避の動きを強め、先週クレディ・スイス銀行の騒動で一旦132円関門割り込み、日足における「ダマシ」のサインとして成立していた。

そのため、当面底割れがないと言っても、頭の重い構造も維持されるだろう。あくまでレンジ変動の一環として据え置き、押し目買いのスタンスで臨んでも高値を追う転換には程遠いだろう。

とはいえ、米長期金利の急落につられた側面が大きかっただけに、円が買われてもあくまで受動的であり、円買いの主体性を認められていないため、あくまで米ドルの上昇途中におけるスピード調整とみなし、メイントレンドに関する判断は不変である。なにしろ、先週一旦2022年12月20日高値の137.48円の打診やブレイクを果たした。規定路線であっただけに、同打診や一旦ブレイクの意味合いが大きかった。

言ってみれば、2022年12月20日はいわゆる「黒田緩和修正ショック」のあった日だけに、同日高値の一旦打診やブレイクをもって新たな変動レンジ入りが示唆されたわけである。目先としては米銀行関連の材料に振り回されているが、本質的な問題でない限り、米ドルはさらなる戻りの余地を拡大するとみている。今週は一連の騒動は落ち着きが想定され、米ドルの戻り基調が確認されるだろう。

その反面、目先のポイントはやはり3月15日の罫線がもたらしたサインだろう。同日の陰線は大きな弱気サインとして解釈され、同日高値の135.13円のブレイクなしではあくまで安値圏での保ち合いに留まる。押し目買いのスタンスと共にレンジ取引の一環として扱うのが適切であり、性急か高値追いに距離を置きたい。

もちろん、何らかの材料で市場心理が大きく改善され、一気に135円以上に定着すれば、日足における基調を大きく改善できるとみている。そのきっかけ待ちとも言える現状において、なお慎重なスタンスを保ちたい。

豪ドル/円 週間予想レンジ:88.00~90.50

メインストラテジー:レンジ取引

・ぎりぎり底割れを回避
・強気基調を完全に失くす
・安値の鍛錬はなお覚悟

【図表2】豪ドル/円(日足)  
出所:筆者作成

アナリシス:

豪ドル/円相場は先週続落、一旦87.35円の安値打診をもって再度底割れのリスクを拡大させた。しかし、結果的に88円大台を維持した形で大引けし、ぎりぎりの底割れ回避となり、従来の強気基調を完全に失くしたと言える。

もっとも、先々週大きく反落し、リスク回避の動きを鮮明にさせた。また、米シリコンバレー銀行破綻の件に関して、豪ドルとの連動性は小さかったが、米ドル全体が反落した割には豪ドル対米ドルの浮上がみられず、逆に間接的とはいえ、円の急騰がみられたわけで、強気基調が大きく痛められた。先週の続落はむしろ当然のなりゆきであったと言える。

そのため、上値志向を一旦否定され、しばらくは安値圏での変動を余儀なくされる、と先週のコラムで解説した通り、先週の値動きは想定範囲内であった。さらに、底割れを回避できる見通しで、ベアトレンドを形成していくとも考えられないため、先週の値動きは当然の結果とみている。

また、そもそも先々週に上放れできなければ、変動レンジの下限が下方修正されても仕方がないとみなし、安値圏における変動レンジの再整備、といった見方のほうが現実的だったため、先週の底割れ回避があったとしても、なお弱気基調の一環として位置付け、これからなお下値リスクを警戒しておく必要がある。

上値志向が完全に削られ、基調回復されるまでしばらく底値の再確認に注意、という点も先週のコラムで解説した通りであり、テクニカルの視点においてもその蓋然性が大きい。言ってみれば、度々高値をトライしていたが、すべて失敗したことが大きい。継続的に上昇トレンドを形成できず、上放れの「3度目の正直」となるタイミングにあったが、結局失敗に終わったところで、基調が大きく痛められたわけだ。

すでに2022年年末安値の水準に再度迫ったわけで、2022年12月20日の「黒田緩和修正ショック」時の安値、即ち87円関門の割り込みがあれば、本格的なベア基調へ転換するリスクさえある。しかし、先週の値動きに鑑み、すでに底打ちに近い兆しがあったため、下値追いも目先としては期待できない。

そのサインは両面性を持ち合わせる。3月15日の大陰線は、前の罫線に対して「アウトサイド」のサインを点灯しながら、後ろの罫線に対して「インサイド」のサインを点灯しているため、これからブレイクの方向次第で大きな展開を見せるだろう。言ってみれば、これからなお上放れの可能性が大きいが、底値鍛錬が先行することを強く意識しておきたい。