金利差も正当化するユーロ高・米ドル安
ユーロ/米ドルは、足元で1ユーロ=1米ドルの「パリティ(等価)」近辺で推移している120日MA(移動平均線)を「大きく」、そしてすでに1ヶ月以上と「長く」上回っている(図表1参照)。これは経験的にはユーロが底を打って、上昇トレンドに転換した可能性を示している。
このようなトレンド転換は、120日MAより長い52週MAを参考に判断することもあるが、ユーロ/米ドルの52週MAは足元で1.06米ドル程度なので、今週に入ってユーロ/米ドルはその52週MAも一時上回る動きとなった(図表2参照)。
米ドル/円も足元で140円程度の120日MAを大きく下回り、米ドル高・円安から米ドル安・円高にトレンド転換した可能性が高くなっているが、52週MAは130円程度で、こちらはまだ下回るまでには至っていない(図表3参照)。
以上のように、120日MAと52週MAとの関係を見る限りでは、ユーロ/米ドルが、米ドル/円以上に米ドル高から米ドル安へのトレンド転換の可能性が高いと言えそうだが、この背景には金利差との関係もあるのではないか。
独米2年債利回り差ユーロ劣位は、足元で6月以来、ほとんど半年ぶりの水準まで縮小。1.06米ドル程度までユーロ高・米ドル安に戻してきた為替の動きと基本的には違和感がない(図表4参照)。一方、日米2年債利回り差米ドル優位は、まだ10月の水準に縮小した程度にとどまっており、140円を大きく下回るまで米ドル安・円高になっている為替の動きとは、かい離が目立っている(図表5参照)。
整理をすると、最近にかけてのユーロ高・米ドル安は、基本的に金利差とも整合的であり、その意味ではユーロ高・米ドル安へのトレンド転換の可能性も高いのではないか。一方、米ドル/円も120日MAとの関係で見ると、米ドル安・円高トレンドに転換した可能性はあるが、金利差がそのようなトレンド転換をまだ正当化するまでには至っていない点は、ユーロ/米ドルとの違いと言えそうだ。