中国では引き続き経済のスローダウンを示す経済指標が出ています。2012年9月20日に発表されたHSBC中国製造業PMIの9月速報値は47.8と8月より0.2ポイント改善しましたが、11か月連続で景況感の分かれ目となる50を下回り、景況感のマイナス基調が続いています。欧州の景気悪化が中国輸出の足を引っ張っている構図です。また尖閣諸島の日本との領土問題が年間約30兆円規模の両国間取引にも影響する懸念も出てきており、このままいくと日中ともに大きな経済的ダメージをお互いに受けるリスクあります。
月足ベースの上海総合指数は現在のところ先月終値を下回り、このまま行けば3ヶ月連続の陰線となり、安値更新は止まらないでしょう。PMIが50を長らく下回っていることは、景況感を良いとする企業よりも悪いと答えた企業の方が多い状態が長いことを表し、心理的な影響を受ける株価とほぼ整合性を持って推移している模様です。世界的に米国のQE3発表によって新興国の株価が上昇に転じていますが、中国本土株だけが安値を更新する動きは少し気になるところです。一方、香港の株価は、欧米機関投資家の取引に大きく影響されるため、通常のチャート上ではQE3を前後に下落基調を脱したようにも見えます。このまま米国株がQE3の効果によって上昇を続けるのであれば、好影響を受ける可能性があります。
セクター別のニュースとしては、国営の中国証券報が当局筋の情報として伝えたものとして、中国の銀行の配当性向引き下げを容認する可能性があるというニュースがあります。また、大手会計事務所プライスウォーターハウスクーパースが9月20日に発表したレポートによると、2012年上半期に中国経済のスローダウンによって中国の銀行の延滞債権が急増しているとのこと。これらのニュースは当然株価にはマイナスです。そして銀行株は株式市場で大きな時価総額ベースでの構成ウェートを占めているだけに、株式市場全体にもマイナスの影響を与えています。いずれにしてもこれまでに実施された緩和策や刺激策が効果を表してPMIなどの経済指標が好転を示唆する数字に転換するか、更なる政策発表されるまで、中国本土株はもう少し調整局面が続きそうです。