モトリーフール米国本社、2022年7月19日 投稿記事より

主なポイント

・2026年には、小売売上高全体の20%超がオンラインで行われる見通し
・YouTubeは、増え続ける視聴者にインフルエンサーがより多くの商品を販売するのを支援することで、eコマース界の有力企業になる狙い
・ショッピファイは、ライブストリーミング・ショッピング市場をめぐるアマゾンとの覇権争いにおいてYouTubeと提携

株価が低迷しているグロース株2銘柄は買い時か?

米国の2022年のオンライン小売の売上高は、前年から9%増加して1兆ドルを超える見通しです。そして、2026年には、小売売上高全体の20%超がeコマースチャネルを通じて行われると予想されており、この割合は現在の15%から上昇する見通しです。

オンライン動画共有大手のYouTubeはここに目を付け、この巨大でなおかつ急成長中の市場でのシェア拡大を図るために、さまざまな手段を講じています。アルファベット(GOOGL)の子会社である同社は現在、eコマース大手のショッピファイと提携し、オンラインショッピング機能の強化に取り組んでいます。

インフルエンサーとの連携強化

毎日、数百万人もの人が、お気に入りのソーシャルメディアを通じて買いたいものを発見したり、評価したりしています。コンテンツクリエイターは、視聴者の意思決定にますます影響を与えるようになっています。クリエイターはファッションに関する情報提供者であり、また視聴者がより良い買い物をできるように商品の試着やディスプレイをしてくれる、信頼できるアシスタントでもあります。グーグルの調査によると、視聴者の89%がクリエイターのお薦めは信頼できると答えており、今や大切な仲間のような存在です。

YouTubeは、このトレンドをさらに推し進めようとしています。同社はコンテンツクリエイター向けにライブショッピングツールを展開し、またショッピファイと提携して、クリエイターがYouTube上で自身のオンラインストアを簡単にリンク・運営できるようにしようとしています。インフルエンサーがファンに商品を直接提供できるようにすることで、YouTubeは単なる発見の場ではなく、主要なショッピングサイトになることを狙っているのです。

両社はまた、視聴者がYouTubeから離れずにシームレスに決済までできるように、連携を進める意向です。ショッピファイはさらに、リアルタイムの在庫管理ツールを提供することで、クリエイターが商品の不足を回避できるようにする予定です。

ショッピファイのKaz Nejatianバイスプレジデントはブログで、「クリエイターは次世代のマーチャント(売り手)だと我々は考えています。YouTubeは長年にわたり、この新たな起業家集団に力を与えてきたリーダーです。我々はYouTubeと提携し、クリエイターエコノミーを成長の次の段階に押し上げる貢献ができることをとても嬉しく感じています」と述べています。

強大なアマゾンとの戦い

クリエイターに取り入ろうとしているのは、YouTubeやショッピファイだけではありません。オンライン小売りの巨大企業であるアマゾン(AMZN)も、人気プロモーターに契約金や旅行を提供するなど、より多くのインフルエンサーを自社のeコマースプラットフォームに取り込む動きを強化していると報じられています。

同社はこうした取り組みを、成長の重要な原動力と捉えています。アマゾンのWayne Purbooバイスプレジデントはフィナンシャル・タイムズ紙のインタビューの中で、「ライブストリーミング・ショッピングは小売の未来です」と語っています。

Purboo氏は、アマゾンが展開するライブストリーミング・ショッピングサイト「Amazon Live」を率いています。同サイトでは、セレブやインフルエンサーがお気に入り商品のお買い得情報を配信しています。アマゾンは従来のeコマースショッピング市場を支配したように、ライブストリーミング・ショッピング市場も支配したいと考えています。しかし、YouTubeとショッピファイも、この急成長市場で優位に立とうとしています。この戦いは、それぞれのeコマース企業の成長率に重大な影響を与える可能性があるため、投資家は注意深く見守る必要があります。

アルファベットとショッピファイの株は買い時なのか?

多くのグロース株と同様に、アルファベットとショッピファイの株価も2022年に大きな打撃を受けており、年初来でそれぞれ22%超と75%超の下落となっています。

新型コロナウイルスのパンデミックの初期に急増したeコマース売上高も減速しています。感染防止を目的とした行動規制が解除され、従来の小売店舗に戻る人が増えています。それに伴い、アルファベットが提供するデジタル広告やショッピファイのeコマースサービスに対する需要も、徐々に減速しています。

高止まりしているインフレと、それを抑制するための米連邦準備制度理事会(FRB)の動きが景気後退につながるかもしれないとの懸念も、ショッピファイとアルファベットの株価に重くのしかかっています。深刻な不況が長期化すれば、eコマース売上は落ち込み、デジタルマーケティングやその他のオンライン小売りサービスへの需要も一段と後退するでしょう。

しかし、こうした懸念の影響で、アルファベットとショッピファイのバリュエーションは、わずか数ヶ月前と比べてはるかに魅力的な水準となっています。各社の株価が反発し、2021年後半に付けた高値水準まで回復するには時間がかかるかもしれませんが、両社のリスク/リターン特性は、忍耐力のある長期志向の投資家にとって極めて魅力的になっています。

さらに、アルファベットとショッピファイは、デジタル広告とeコマース小売サービスというそれぞれのコア市場において、競争的優位に立っています。たとえ景気が後退して、これらの市場が一時的に後退したとしても、両社の長期見通しは依然として魅力的です。そのため、足元の株価低迷は、実績のあるこれら勝ち組企業への投資を始める、または買い増しするチャンスかもしれません。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会のメンバーです。アマゾンの子会社であるホールフーズ・マーケットのCEO、John Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会のメンバーです。元記事の筆者Joe Tenebrusoは以下のオプションを保有しています。アマゾンの2024年1月満期の100ドルコールのロング。モトリーフール米国本社はアルファベット(クラスA)、アルファベット(クラスC)、アマゾン、ショッピファイの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは以下のオプションを推奨しています。ショッピファイの2023年1月満期の1,140ドルコールのロング、ショッピファイの2023年1月満期の1,160ドルコールのショート。モトリーフールは情報開示方針を定めています。