ウクライナ情勢が激化するなかVIX指数が高騰
先週1週間でS&P500は2.88%の下げ、2週連続の下げとなりました。
ナスダック総合は1週間で3.53%の下げです。前回コラムでお伝えした通り、ナスダック総合はベアマーケット(52週間の高値から20%以上下落)に突入しました。
3月11日(金)の段階でロシアのウクライナ軍事侵攻後16日目となりましたが、紛争解決の糸口は見つかりそうもありません。
そんな中、恐怖指数と呼ばれているVIX指数が高騰する展開となりました。同指数はマーケット参加者の心理を表す指数として注目されています。この指数が20以下であると、マーケット参加者は心理的に安定しており、20を超えると、その後近いうちに大きな下げがあるのではないかという警戒感が高まると言われています。今回のロシアによるウクライナ侵攻後、米国株が大きく下落する中、VIX指数は3月8日(火)までに7日間連続で30を超えました。
VIX指数が7日間連続で30を超えたケースは、1990年からこれまでで16回起きており、今回で17回目となります。戦争の最中、このような事態になると、マーケットの今後の先行きに不安を持たれる方も多いのではないかと思います。しかし、必ずしも悲観的になることはなさそうです。
過去にVIX指数が7日間以上連続30を超えた後、S&P500は高い確率で上昇
以下の図表は、過去にVIX指数が7日間以上連続で30を超えた時の1週間、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年後のS&P500のパフォーマンスです。
中央値で見ると、1週間後のS&P500のリターンは-0.5%、プラスになる確率は50%しかありません。しかしその後、1ヶ月後のS&P500は中央値で+3%となり、プラスになる確率は69%へ高まってきます。3ヶ月後、6ヶ月後、1年後のリターンはそれぞれ+7.8%、+17.3%、+26%、プラスになる確率はそれぞれ81%、81%、88%へと高まってきます。加えて、これらのリターンは、通常の米国株のリターンより高いことがわかります。
過去2回だけ1年後がマイナスのリターンとなっていますが、これはドットコムバブル崩壊と世界金融危機の際のことです。
今回のロシアのウクライナ侵攻の行方を占うことは誰にもできません。ただ、米国株式市場で過去に発生したベアマーケットのその後の状況を検証する限りにおいては、これからの米国株の見通しに必ずしも悲観的になることはないでしょう。
米国株式市場で過去に発生したベアマーケットのその後の状況も頭の片隅に置きながら、冷静にマーケットを注視していくことが求められると思います。