エヌビディア[NVDA]の史上最高値更新などテクノロジーセクターが上昇を牽引
S&P500は先週も史上最高値を更新し、週明けの10月14日(月)には、さらに高値を更新しました。S&P500については、2024年に入って46回目の高値更新であり、NYダウも43,000ドル台に乗せて最高値を更新しました。
2022年10月13日にS&P500が3,491ポイントの安値をつけてからの上昇基調であり、米国株のブルマーケットはちょうど2年が経過したことになります。ナスダック100は史上最高値こそ更新していないものの、同指数も堅調に推移しています。結果的には、今回もテクノロジーセクターが牽引した上げと言えるでしょう。
10月14日には、エヌビディア[NVDA]が、10対1の株式分割を発表した6月18日の史上最高値を更新しました。2024年のマーケットの上げを牽引してきたエヌビディアですが、データセンターへの莫大なAI投資をしてもリターンは得られないのではないかという懸念も浮上。6月に史上最高値を更新してから8月にかけて、株価は140ドルから90ドルまで3割以上下落したのです。
そんな中、エヌビディアのジェンスン・ファンCEOは、米国の機関投資家向けロードショーでAI投資によってリターンが得られることを語り、経済番組のインタビューでは新しいGPUであるBlackwellチップについて「終わりなき需要」があるとコメント。同社に対する注目度が高まり、エヌビディアは史上最高値を更新しました。
また、8日連続で上昇しているアーム・ホールディングス[ARM]やクアルコム[QCOM]などの半導体銘柄も堅調に推移し、マーケットを押し上げました。
第3四半期の決算発表がスタート、ゴールドマンサックス[GS]やTSMC[TSM]などに注目
マーケットにとっての次の重要なカタリスト(推進力)は企業業績です。米国ではまさに第3四半期の決算発表が始まりました。
米国株の決算発表シーズンは、銀行セクターの発表をもって始まると言われています。先週10月11日(金)は世界最大手のジェイピー・モルガン・チェース[JPM]の発表がありました。前年比の業績は下回ったものの、アナリストの事前予想を上回り、株価は4.4%上昇。雇用統計が強かったこともあり、今後の業績に対する期待感が高かったと考えられます。
この日は他の銀行や、ビザ[V]、マスターカード クラスA[MA]などのクレジットカード会社の株価も上昇しました。
今週はシティグループ[C]、バンク・オブ・アメリカ[BAC]、ゴールドマン・サックス[GS]などの大手銀行の決算発表も予定されています。10月16日オープニング前に決算が発表されるゴールドマンサックスは、投資銀行手数料の急増により第3四半期の純利益が前年比で25%増加、1株あたり6.89ドルのEPSが予想されています。
一方、シティグループとバンク・オブ・アメリカは、2023年と比較して控えめで利益減少が予想されています。投資家は、特にこれらの銀行の今後の純利息収入やローンの延滞率に関する見通しに注目しています。市場の期待は低いため、予想を上回ることができれば株価はジェイピー・モルガン・チェースと同じように好反応する可能性が高いと思います。
また、10月17日(木)には、エヌビディアのGPUを製造している台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSMC)[TSM]の決算発表が予定されており、市場はこちらにも注目するでしょう。
今後はマグニフィセント7以外の業績にも期待
S&P500全体としては、今回の第3四半期の決算は前年同期比で4.3%の増益が予想されています。これが実現すれば、5四半期連続で前年同期比での増益となります。S&P500は驚異的な伸びを示していますが、今後さらなる上昇のためには、業績のさらなる伸びが必要です。
これまではマグニフィセント7(※)のようなメガキャップの業績の伸びに牽引されてきました。今後は幸いなことに、第4四半期から2025年第1四半期にかけて、マグニフィセント7以外の493銘柄も業績が伸び始めると予想されています。
(※)アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]