モトリーフール米国本社、2024年10月27日 投稿記事より

ビル・ゲイツ氏が原子力関連の未公開スタートアップ企業テラパワーに投資

原子力エネルギーがにわかに注目を集めています。この1ヶ月間に、大手ハイテク企業のマイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]の3社は、それぞれ原子力エネルギーに関する契約を結んだことを明らかにしました。これは偶然ではありません。人工知能(AI)をめぐる競争を受け、大手ハイテク企業は、ChatGPTのようなAIアプリケーションのために構築している大規模データセンターに、どうやって電力を供給するかの検討を迫られています。

実際、AIにおける最大の制約は技術そのものよりも、安価で利用できるエネルギー源の確保かもしれません。だからこそ、世界トップクラスの時価総額を誇る複数の企業が、エネルギー源として忘れられていた原子力に目を向け始めているのです。

再浮上している原子力技術の支援者の1人に、マイクロソフトの共同創業者であり、現在はさまざまな分野で投資や慈善事業を行っているビル・ゲイツ氏がいます。ゲイツ氏は、小型原子炉の建設を手掛ける未公開のスタートアップ企業テラパワーに、10億ドル超を投資しています。

同氏は、再生可能エネルギーの供給不足を補う上で原子力エネルギーが不可欠だと考えており、ニューヨーク・タイムズ紙に対し、「気候について関心があるなら、原子力発電が役に立つ場所は世界中にいくらでもある。テラパワーに投資したのは金もうけのためではなく、多くの小型原子炉を建設する必要があるからだ」と述べています。

テラパワーは未公開企業であるため一般の投資家が投資することはできませんが、似たような企業で投資可能な銘柄があります。ニュースケール・パワー[SMR]です。同社の株価は年初来で400%超上昇しており、原子力発電に対する熱狂の波に乗っています。

原子力エネルギーが注目を集める中、波に乗るニュースケール・パワー[SMR]

2007年に設立されたニュースケール・パワーは、小型モジュール炉(SMR)の開発に特化。中核技術である「ニュースケール・パワー・モジュール(以下、NPM)」は、77メガワットの電力を発電することができます。

同社は最大12基のNPMを組み合わせた発電プラント「VOYGR」を開発しています。同社の技術は、風力や太陽光を活用した再生可能エネルギーと比べると、はるかに小さいスペースで同量のエネルギーを生み出すことができるため、土地の有効活用という点で優れています。

ニュースケール・パワーはまた、SMR企業として唯一、米国原子力規制委員会(NRC)から標準設計承認(SDA)を取得しています。さらに、エンジニアリング・調達・建設(EPC)大手のフルアー[FLR]との緊密な関係もプラスに寄与しています。フルアーはニュースケール・パワーの大株主でもあります。

ニュースケール・パワーは現時点でNPMをまだ販売しておらず、ごくわずかなサービス収入しか得ていないため、まとまった売上高はありません。2023年には、新たな原子力発電プロジェクトに弾みがつくと期待されていた、アイダホ州でのプロジェクトが打ち切りになるという挫折にも直面しました。このプロジェクトは、コスト超過に加え、プロジェクトを実現するのに十分な電力の買い手が見つからなかったことが課題でした。

ニュースケール・パワー株の投資価値は?

ニュースケール・パワーはハイリスク銘柄に該当するでしょう。同社は依然として実質的な売上を上げておらず、原子力発電全般を取り巻く環境には多くの不確実性があります。

とはいえ、冒頭の大手ハイテク企業の動きが示すように、この業界が急速に勢いを増しているのは明らかです。ゲイツ氏のような資産家がこの業界に資金を注ぎ込んでいるのには理由があります。原子力は大きなリターンが見込まれるだけでなく、AIによって増大する電力ニーズに対応するための、気候に配慮した最善の発電ソリューションだと思われるためです。

さらに、最大手クラスのインフラ企業フルアーとの関係は大きな強みであり、開発、顧客開拓、資金調達といったさまざまな側面でニュースケール・パワーにメリットをもたらすはずです。

最近の株価急騰で時価総額は17億ドルに達しており、実質的な売上がない企業として株価は割高に見えるかもしれませんが、若干であれば投資する価値はあるかもしれません。

原子力エネルギーはAIの未来において大きな役割を果たすとみられ、ニュースケール・パワーはSMRのリーダーとして優位なポジションにいます。忍耐強く、リスク許容度の高い投資家であれば、ニュースケール・パワーへの小規模な投資から大きなリターンを得られる可能性があります。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケット元CEOのJohn Mackeyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。アルファベットの幹部であるSuzanne Freyは、モトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jeremy Bowmanは、アマゾン・ドットコムの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アルファベット、アマゾン・ドットコム、マイクロソフトの株式を保有し、推奨しています。モトリーフール米国本社は、ニュースケール・パワーの株式および以下のオプションを推奨しています。マイクロソフトの2026年1月満期の395ドルコールのロング、同2026年1月満期の405ドルコールのショート。モトリーフール米国本社は情報開示方針を定めています。