株式市場は年明け早々、波乱の展開となった。先週末に米国の長期金利は一時1.8%台に上昇、新型コロナウイルスの感染が拡大する前の水準まで達した。これを受けてハイテク・グロース株が売られ、ナスダック総合株価指数は前日比1%下げた。今週も引き続き金利動向をにらみながら神経質な値動きが予想される。
そうした中、今週最大の注目点は、FRBのパウエル議長の再任指名承認公聴会だ。11日に上院銀行委員会で開かれる予定である。翌日の12日に米国の消費者物価指数(CPI)の発表を控えているだけに、パウエル議長はタカ派的なスタンスを堅持するだろう。議長の発言には要警戒である。
国内では小売企業を中心に21年9-11月期決算が多く発表される。11日は安川電機(6506)、12日はイオン(8267)、13日はセブン&アイ・ホールディングス(3382)、ファーストリテイリング(9983)が開示する予定。
相場の重しとなりそうなのが国内で急拡大しているオミクロン変異株の感染だ。広島・山口・沖縄3県では「まん延防止等重点措置」が適用された。首都圏やほかの地域へ広がる不安はあるが、政府は慎重な対応をするだろう。初めにオミクロン株が見つかった南アフリカに続き、英国でも感染者数が減少に転じた。オミクロン株は感染が速い分、ピークアウトも早い可能性がある。
先週公表された米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨でバランスシート縮小が早期に行われる可能性が示されたことが、市場を動揺させたが、別に特段のサプライズではない。米国株は年明けから最高値更新で始まっていただけに、格好の利益確定売りの材料にされた面もあるだろう。長期金利の1.8%にしても、絶対水準としては高くない。新年入りしてニューマネーも動き出す。米国の10年債で1.8%なら魅力的に映り、機関投資家からの買いも入るだろう。一本調子の金利上昇はないと思われ、株式市場にも押し目買いも入ってくるだろう。
前段でパウエル議長の公聴会発言とCPIに警戒と述べたが、そこを無難に通過すれば、アク抜けして相場が切り返すきっかけになるかもしれない。
トヨタ(7203)、東京海上(8766)、日立(6501)、三菱UFJ(8306)などの大型株選好は続くだろう。一方、マザーズがどこで底を入れるか、そろそろ見極めていきたい。