派遣社員の更新打ち切りや大学生の内定取消しがニュースとなっています。景気悪化が目に見えてきました。働く機会を失えば、収入がなくなり、住むところもなくなってしまう、という死活問題です。
こんなとき社会保障がしっかりしていれば・・・と思いますが、政府が景気問題、その他にかかりきりで、年金問題をはじめとする社会保障問題がここのところ置いていかれているような様子。雇用を含めて将来の生活が不安だと言う人が多く、そういった状況では景気対策と鼓舞しても人々は消費に向かいにくくなりますよね。

そんな中、今朝の日経新聞で厚生年金の改革の提案がありました。小手先の改革では、加速する少子高齢化には効果が期待できませんし、人々の「安心感」を得ることはとても無理でしょう。抜本的な改革がなされることを大いに期待したいものです。

ただ、「改革」と聞いてもどこが改善されるのか、どんな影響あるのか、元々の制度について理解していなければわかりませんよね。
そこで、年金制度についての基本部分について、簡単にご案内したいと思います。

日本の年金制度は、加入は国民の義務となっています。
原則20歳から60歳まで年金保険料を支払い、65歳から年金保険が支給されます。なお、年金受給資格は保険料支払期間中25年以上保険料を支払っていること。1ヶ月でも足りなければ受給資格はありません。
現行制度は賦課方式といわれ、現役世代の納める年金保険料によって、受給者の老齢年金が支えられています。少子高齢化の進む中ではこれが問題の一つと言えます。

学生時代に国民年金に加入していた人も、サラリーマンになると「厚生年金」に加入します。(公務員は「共済年金」です。)この違い、わからなくなる方も多いようですね。実はこれらは基礎年金と言われる部分が国民年金で、その2階部分として報酬(給料)に比例した部分が乗っています。その分支払う保険料も高くなります(ただし労使折半です。)が、受給金額にも反映される仕組みです。
ちなみに厚生年金や共済年金の場合、サラリーマンや公務員である限りは、70歳に達するまで強制加入です。ただし65歳時点で受給資格を得ている場合、1階部分が外れ、2階部分のみの加入となります。
なお、会社によっては「企業年金」があるところがあります。「確定拠出年金(401K)」などの説明を聞いて、難しく感じた方の多いかもしれませんね。これは各企業の独自の退職金制度としてあるもので、サラリーマンにとっては3階部分となるものです。

自営業者や農業従事者、学生、無職の人が加入しているのが国民年金、第1号被保険者と呼ばれます。会社員や公務員などは第2号被保険者と呼ばれ、厚生年金や共済年金(まとめて被用者年金)に加入しています。
もう一つ、第3号被保険者と呼ばれるのは第2号被保険者の配偶者です。よくご主人が自分の分の保険料も払ってくれていると思っている方がいるのですが、保険料は払われていません。第1号被保険者の配偶者は、本人も第1号被保険者として保険料を支払う義務が課せられていますので、議論されている部分でもあります。

文字数にも限りがあって、本当に触り部分、どんな種類の年金に属しているのかだけですが、まずは基本をきちんと認識をするようにしてくださいね。
廣澤 知子
マネックス証券 
シニア・フィナンシャル・アドバイザー