上昇一服だった先週の米国株式市場
8月16日(月)に4,480ポイントで史上最高値を更新したS&P500ですが、その後はさすがに息切れし、高値更新とはなりませんでした。
8月16日(月)には量的緩和の縮小が早まるとの観測、新型コロナウイルスのデルタ株の感染拡大、そして中国経済の減速が懸念される中、原油安が起き、景気敏感銘柄を中心とした下落がマーケット全体を押し下げるという展開となりました。景気敏感・バリュー銘柄主導の下げは4日間続いたものの、8月20日(金)にマーケットのセンチメントは好転しました。
先週1週間でS&P500は0.59%の下げで終えました。景気敏感銘柄の多いNYダウは1.1%の下げ、ナスダック総合指数は0.73%下げて終えています。
先週のマーケットを救ったのはグロース銘柄
8月20日(金)のリバウンドを主導したのは、グロース銘柄でした。マイクロソフト(MSFT)がMicrosoft 365 / Office 365の値上げを発表したことをマーケットは好感、アナリストたちの同社の目標株価の上方修正があったことも受け、同社の株価は史上最高値を更新しました。
先週1週間でS&P500バリュー指数が3%下落する中、同グロース指数はほぼフラットで1週間を終えました。8月に入ってからグロース銘柄のパフォーマンスが冴えない中、マーケット全体を押し上げたのはバリュー銘柄でした。そのバリュー銘柄が8月16日(月)から売られる一方、マーケットを下げから救ったのがグロース銘柄ということで、米国のマーケットはよくできているなと私も感心しています。
コロナ禍で打撃を受けた百貨店が回復を始めた模様
先週発表されたウォールマート(WMT)、ホームデポ(HD)のようなコロナ禍で恩恵を受けた大型小売関連銘柄は事前予想を上回った決算発表をするものの十分でなく、株価は下落しました。その一方で、先週の決算発表で客足が戻ってきていることが確認できた百貨店のメーシーズ(M)の株価は先週18%上昇しました。同社は配当の再開と売上高予想の引き上げも発表し、コロナ禍で長期低迷したアパレル消費の回復兆候と受け止められ、アナリストたちは目標株価を引き上げました。
前回のコラムでも書きましたが、S&P500は2021年の2月以降、5%を超える調整もなく、数パーセントの下げを何度も経験し、史上最高値を更新し続けました。事前予想を上回った第2四半期の決算発表もほぼ終了し、目先株価を大きく下げる要因が見当たらない中、市場の注目は、8月27日(米国時間)に予定されているジャクソンホールでのパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長のスピーチです。パウエルFRB議長の量的緩和の縮小(テーパリング)を巡るコメントのニュースのヘッドラインをめぐり株価指数が動くことになるでしょうから、心の準備をしておきたいところです。