この12月ですが、市場によって多少様相が変わります。
株式市場はそれぞれの国の休日によるものなので、日本においては大納会まで通常の取引がなされます。
原則、24時間眠らない外国為替市場ですが、こちらは多国の通貨が取引対象であるため、海外の休日や習慣に大きく左右される傾向があります。
12月は欧米の人にとっての1年最大のイベント、クリスマス(キリスト圏以外の国もあるため、宗教色を出さずに単にホリデーシーズンと呼んだりしますが)があります。
欧米ではクリスマスの頃、祝祭日になるうえ、その前後にまとめて休暇をとる習慣もあって、12月中旬くらいから外国人の市場関係者が急減します。日本人は通常どおり仕事をしている時期ですが、市場が閑散となってしまいがちです。
欧米のディーラーたちはお休みの間に市場が急変することを嫌い、ポジションを手仕舞ってしまうことも多いようです。そういう意味では、外国為替市場に限らず、日本株市場においても、外国人投資家の参加者が減るという傾向はあります。
相対取引である為替取引で市場において相手が少なくなるということは、取引ボリュームや流動性が低くなることを意味します。
閑散としているときは通常相場が「凪いでいる」(値動きが少ない)ものです。
値動きが大きいときにチャンスが到来するようなポジションはあまり結果につながることもなく、そういうポジションにコストをかけないで、淡々とした取引や、必要以上に取引をしない=休むも相場、と決め込む人も多いようです。
ちなみに日本がお正月休みでのんびりしている三が日ですが、欧米では元旦だけ休みで2日からは通常どおりとなります。お正月休みやGWといった日本人だけが休んでいるようなときは、逆に値動きが大きくなる傾向もあり、目が離せないものです。日本でも外国為替担当者はのんびりお正月を過ごせないことも多いのです。
12月の休日に絡む外国為替市場の様相をご紹介しましたが、金融市場にはこういったものとは別に、投資理論的な裏づけや根拠がないまま、よく見られる現象というものがあります。これを「アノマリー現象」と言います。
よく言われるものに、以下などがあります。
・日本株・・・4月に株価が上昇しやすい → 売り抜けに向く=「4月効果」・米国株・・・10月に安値をつけやすい → 買い場になりやすい=「10月効果」・外国為替・・・1月の相場動向がその年1年の相場動向を決める
そもそも根拠がないものなので、アノマリーどおりに行くと決めてかかることは大変危険ですが、市場関係者の多くがそうしたアノマリーを知っていて、意識はしている可能性が高く、そういう意識=心理が相場を動かしたりもします。
海外の習慣やアノマリー、知っていて損はないですよね。
廣澤 知子
マネックス証券
シニア・フィナンシャル・アドバイザー