原油の値動き、米国株式市場、そして国内株式市場と引き続き不安定な動きとなっています。当然世界中の市場は連動します。世界最大の貿易国である米国の経済不安となれば、貿易相手国の経済にも大きく影響します。

こんなとき、個人投資家はどんな動きをしているのでしょう?
今朝の新聞にもありましたが、個人の金融資産に占める預金の割合が昨年末から増えているということです。
多くの個人投資家の行動ははたして「正しい」のでしょうか?

機関投資家(プロ)も、株式市場が不安定になると、「安全資産への逃避」という行動をします。運用のプロにとっての「安全資産」というのは債券のことで、債券市場に資金を回します。
そうした行動をとるのは、下記の理由によります。
1.「時間の制約」があり、短期間である程度の実績を上げなければならない。2.他人のお金を運用していることから、リスクを徹底的に管理されている。
個人投資家が自分の大切な資産を減らさないために、安全資産にお金を避難させることも、もちろん「誤り」ではないでしょう。
特に年齢が高く、将来の生活費捻出を目的に投資していらっしゃるような場合は、市場変動の激しいときに無理に大きなリスクをとりに行く必要はないと思います。

ただ、これから長期的に投資と取り組める方の場合は、事情は少し変わってきます。

もし現在の預貯金の金利水準が相当に高いところにあり、今後の景気悪化に伴い金利が低下していく、といったようなときであれば、すかさず安全資産に、しかもなるべく長めに固定することは理にかなった選択だといえます。が、残念ながら現状では日本の金利は世界最低水準です。
現在の日本の預貯金にお金を寝かせた場合、相当な時間をかければ多少の複利効果は得られるかもしれませんが、あまりに超低金利なのでそれも高が知れたところです。(ちなみにタンス預金では、どんなに時間をかけてもお金は一切増えません!)

個人投資家にとっての最大の武器は「時間」です。資金量や情報量はとてもプロにはかないませんが、長い目で投資と向き合えること(短期間に実績を上げることを求められない)は大きな利点です。
この利点を前提に、次の3つの考え方をしてみてはいかがでしょうか?

1.相場は必ず動くもの。下がっているときはチャンスと思い、株式の新規購入(株式投資信託を含む、株式も国内外を対象に。)。
2.プロ同様に債券へ資金移動。ただし、円のストレートな債券(国債など)では低金利過ぎるので、為替リスクをとる外貨建て債券や仕組み債を選択。3.株式や債券といった伝統的な資産ではない、「代替投資」を検討。金や原油といったコモディティに連動する投資信託を選択。

ただし、この方法もどれかに偏りすぎることはリスクの取り過ぎとなりますので、ご注意くださいね。「ほどほど」の国際分散が長期投資には最も効果的だと思います。
廣澤 知子
マネックス証券 マーケティング部 マネジャー
シニア・フィナンシャル・アドバイザー