昨年11月以降、大幅に下落してきた中国本土株ですが、旧正月前は若干反発、上昇しました。これには大きく2つの理由があります。1つは流動性の改善期待です。中国はいよいよ金融政策が緩和方向に転換されたところで、これから緩和政策が期待できます。2012年に入り、中央銀行が公開市場操作を通じて1690億元を注入したほか、証券当局も適格海外機関投資家(QFII)免許を14社に交付。さらに、地方政府系年金基金1000億元による国内資本市場への投資が解禁される可能性があるのではないかという観測も出ており、市場支援策への期待感が高まっています。

もう1つの理由は中国の2011年第4四半期のGDP成長率が前年同期比8.9%増と第3四半期の9.1%増から緩やかにスローダウンし、中国経済がきちんとソフトランディングの方向に進んでいると確認できた点です。中国の地域的な特性として、旧正月前には一旦資産を清算して現金化しようという慣習や、長期連休前の資金需要に伴う換金売りによる需給悪化要因があり、旧正月前は株価も下がりやすい状況になることが多いです。そして2012年も2011年11月から旧正月前にむけて本土株は大きく下がってきましたが、ここにきて状況が変わって旧正月の直前になって反発しており、需給問題がなくなるとみられる旧正月明け以降は株価が上昇していくことが期待できるのではないかと思います。

一方、香港株も堅調です。香港株は中国本土株と米国株の両方の影響を受けます。香港市場が好調な理由には前述の本土市場の反発もありますが、米国市場が堅調なこともあります。世界情勢は依然として予断を許さない状況ではありますが、足下の米国の景気指標は米国経済の改善を示しつつあり、欧州からの資金逃避も相まって、米ドルと米国株を押し上げているようです。昔から米国では、よく知られている格言として、株は秋に買い、クリスマスラリーに乗せて利を膨らませ、春に売るに限る、というものがあります。2011年はまさにこれに沿った動きとなりましたが、この格言通りに動くことが多いとするならば、2012年も5月までは、米国株は強い相場が続く可能性があり、そうなれば香港市場も好影響を受けます。

つまり、香港市場は本土市場の旧正月明けの反発期待と、米国株の5月頃までの上昇期待の両面の好影響を受ける可能性があり、旧正月明けは力強い相場が期待できるとも言えると思います。加えて言えば、香港市場の場合、4~6月に配当落ちする企業が多くなっています。このため、香港市場では旧正月明け後は配当狙いの資金が流入して上昇しやすくなるケースもあります。以上のことから、香港市場の旧正月明けの展開は力強い展開が期待できるのではないかと考えます。