今年の米国株式市場の動きについて、どういう動きをしてきたか、記憶していらっしゃいますか?代表的な株価指数であるダウ平均(ダウ工業株30種平均)で見ていくと、今年の1月に史上最高値を付けた後、2月前半にかけて(終値ベースで)10%近く下落をし、そこからは回復傾向ではあるものの、8月31日終値でも、今年の1月高値を抜けて上昇することはできていません。 今年の株式相場は、米国経済の拡大期が今年か来年前半には終了してしまう、いわゆる「ピークアウト」観測に加え、米FRBが断続的に政策金利を引き上げる中で、景気の腰が折れてしまうという懸念が、株価の先行きを不透明にしてきました。今年1月の株価の調整にしても、税制改革や規制緩和が大きく進展する一方で、先行きへの悲観的な見方の方が強まったことが背景にありました。その上、更に、米中貿易摩擦への懸念や米ドル金利の上昇による新興国市場の混乱、シリアでの地政学的なリスクの高まりやトルコリラ下落など、問題が山積していることは事実で、これらが相場の上昇を抑える要因であることは事実でしょう。 しかし、米国株式市場の総合的な株価指数の一つであるS&P500指数を見ると、少し様子が異なります。同指数は、今年1月26日に終値ベースでの最高値を付けた後、2月前半にかけて10%超下落し、そこから徐々に回復傾向・・・とここまでは、上述のダウ平均と同じなのですが、S&P500指数は、先々週8月24日に、今年1月につけた高値を抜き、史上最高値を更新してきています。さらに、もう一つの指数であるナスダック指数は、今年1月高値から下落した後、回復はより早く、3月、6月、7月とそれぞれの時点での史上最高値を更新している上、先々週8月24日も新高値をつけて史上最高値を更新しているのです。 こうした底堅い動きから、史上最高値を付けている相場が、弱気のマーケットかというとそうではないでしょう。世界のGDPの4分の1を占める米国経済は、引き続き堅調な成長を維持しています。史上最高水準にある主要企業の業績好調には陰りが見えず、設備投資が増えているなどの事実は忘れてはならないでしょう。そしてトランプ政権の目玉政策である税制改革は実現しており、米国経済を後押しする要因であることと、規制緩和が中小型株を中心に恩恵をもたらすとの観測が強まっていることを見逃してはならないでしょう。2月の株価調整から、時間はかかりましたが、米国株式市場の上昇はまだ続いていると見ておくべき、という声があることも念頭に置いて改めて投資対象を見直してみることも大事ではないでしょうか。
コラム執筆:Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank (NWB)
世界三大金融市場の一つである香港にて、個人投資家に、「世界水準の資産運用商品」と「日本水準のサービス品質」、個人向け資産運用プラットフォームとしての「安心感」を併せて提供している金融機関。マネックスグループ出資先