東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は反落となりました。日経平均は276円高の29,939円で寄り付くと直後に332円高の29,996円まで上昇しましたが、30,000円の大台を前に上値が押さえられたことで上げ幅を縮め10時40分頃にマイナスに転じると前引け間際に138円安の29,524円まで下落し108円安の29,554円で前場を終えました。一段安となった後場の日経平均は250円安の29,413円で取引をスタートさせると直後に348円安の29,314円まで下落しましたが、下げ幅を縮めると13時過ぎには138円安の29,524円まで持ち直しました。しかし、その後再び下げ幅を広げると結局255円安の29,408円で取引を終えています。

こうしたなか新興市場はまちまちで東証マザーズ指数が上昇となった一方で、日経ジャスダック平均は下落となっています。

2.個別銘柄等

リコー(7752)が一時5.3%高となりました。独自のインクジェット技術を用い世界で初めて生産性の高いリチウムイオン2次電池材料の印刷装置を開発したと伝わったことが材料視されました。スポーツ用品大手のヒマラヤ(7514)も16.4%上昇しストップ高となり昨年来高値を更新しました。ゴルフやアウトドア製品が好調に推移したことなどで通期の業績予想を上方修正したことが好感されました。

また、投資判断や目標株価の引き上げに反応したのがテルモ(4543)やパナソニック(6752)で、テルモは投資判断と目標株価の引き上げを受けて一時2.8%高となり、パナソニックも目標株価の引き上げを受けて一時3.5%高となりました。

さらにマザーズ市場ではメルカリ(4385)が4.2%高となりました。中国のネット通販最大手のアリババ集団(BABA)と提携し越境販売を始め、メルカリに出品された商品を中国の利用者が購入できるようにすると発表したことが評価されました。

一方でZホールディングス(4689)が4.8%安となりました。LINEとの経営統合が完了したことで一旦材料が出尽くしとなり売りに押されました。ジャスダック市場ではワークマン(7564)が3.7%安となりました。月を通じて気温が高く、例年、売上比率が高い防寒衣料やウィンドブレーカーなどが低調に推移したことなどで2月の既存店売上高が前年同月比3.7%減と前年割れとなったことが嫌気されました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は255円安となりました。昨日の米国市場が新型コロナウイルスワクチン普及や追加経済政策の早期成立によって経済活動の正常化が進むとの期待が高まったことや長期金利も小幅な上昇に止まったことから大幅高となったことで上昇してスタートし一時は30,000円の大台にあと一歩まで迫りました。しかし、届かなかったことで上げ幅を縮めると700円近く上昇した翌日ということもあって利益確定の売りが出てマイナスに転じ下げ幅を広げました。したがって30,000円近辺での上値の重さが意識されそうで、下げが続いた場合には25日移動平均線(29,247円)を維持できるかがポイントとなりそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)