日本株相場は下値を固めることができるか正念場である。先週末の下げが大き過ぎたこともあり、週明けは米国株の上昇を好感してとりあえず反発するだろう。問題はその反発力の強さと持久力だ。戻ったところは一定量の売りに押されることは想定内だが、どの程度耐えられるか。ストラテジーレポートでも述べたが、下値の目途は日経平均2万1500円程度か。75日移動平均がその水準に上昇してくる。日経平均は6月半ばにも700円安して200日移動平均を割り込んだが、翌日は1,000円超の反発を見せた。2万1500円は意識される水準だろう。日本時間金曜日の夜に米雇用統計の発表を控え、翌週10日が山の日の祝日で東京市場は3連休に入ることから、今週は週後半に様子見ムードが強まるだろう。

先週末、相場の地合いが一気に崩れたのはアドバンテスト(6857)の決算失望⇒ストップ安だ。ほかにもファナック(6954)やキヤノン(7751)など相場のムードを悪化させる決算もあったけれど、頼みの半導体関連が崩れたことで相場は柱を失った。今週もアドバンテストのようなケースがないとも限らないが、あるかないかは正直わからない。サプライズは予想できないからサプライズなのだから予見不能だが、あえて言えばおそらく大丈夫だろう。期待が高いのはソニー(6758)、ダイキン(6367)、レーザーテック(6920)、任天堂(7974)、ダイフク(6383)あたりだが、業績は堅調でネガティブ・サプライズにはならない(ことを祈る)。

6日にはトヨタ(7203)の決算発表がある。トヨタが30日に発表した2020年1~6月のグループ世界販売は前年同期比21.6%減の416万4487台だった。新型コロナウイルスによる需要減が響いたもののフォルクスワーゲンの約389万台を上回り、上期では6年ぶりの世界首位となった。終わった期の業績下振れ懸念は少ないが、先の見通しを慎重なトーンで出してくるかもしれない。トヨタが慎重なのは毎度のことだから悪材料にはならないが、逆に楽観的な見通しを出せば相場の支援材料になる。

今週は月初にあたり米国で重要な経済指標の発表が相次ぐ。3日のISM製造業景況指数、5日のISM非製造業指数とADP雇用統計、7日の雇用統計などだ。いずれも回復の勢い鈍化を示す結果になりそうだと予想されている。織り込み済みで市場の反応は限定的か。繰り返し述べているがNFPはぶれやすい。雇用者数の伸び鈍化はコンセンサスだが、再度減少に転じるとなるとネガティブ・サプライズだ。その可能性もあり得るので警戒して臨みたい。

新型コロナの感染再拡大で、米国の個人消費は6月後半から持ち直しが鈍化している。そうしたなか、新型コロナウイルス対策の特例である失業給付の増額措置が失効した。延長を検討してきた米議会が、与野党対立で協議が難航し、関連法案を可決できなかった。週明けの米国株相場はこれを嫌って売られる可能性もあるため東京市場でも悪材料視されそうだ。延長法案が早期に可決できるかが当面の焦点のひとつだ。

結局、米国株式市場頼みの展開か。アップルやフェイスブックの上場来高値更新に見られるようにGAFAを中心とした米IT銘柄の強さが際立っている。米国頼みといえば、ファイザーが開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて、2021年6月末までに日本が6千万人分の供給を受けることで基本合意したとのニュースはある程度は相場の支えになるだろう。

今週の予想レンジは2万1500円~2万2500円とする。