7月相場に入り、方向感が出てくることが期待されていますが、株価はもち合いが継続する形となっています。また、前回のコラムで指摘したように6月16日の高値を更新する場面がありましたが、上値が重たい状況が続いています。

それでは、前回のコラムでの指摘事項を振り返りつつ、今後の株価動向を考えてみましょう。

前回コラムでの指摘事項の確認

前回のコラムでは、「6月16日の終値が上値の抵抗となっていますので、この終値を、ブレイクアウェイギャップが発生して突破するようですと、上に放れるのではないか」とお伝えしました。

また一方で、「下に放れる場合ですが、その場合は、窓をあけて200日移動平均線を一気に下回って始まると同時に、6月15日の安値を終値で下回るなど、下方向にブレイクアウェイギャップ、またはランナウェイギャップの発生が必要になるのではないか」と、上下どちらかの方向に放れる場合、ブレイクアウェイギャップが必要になるのではないかと指摘してきました。

さらに、「これらの窓が発生せずに、コモンギャップの発生が続く場合、もち合いが続いたり、株価が一旦上下に放れたように見えても、もち合いが継続したりすることになるのではないか」とも指摘しましたが、実際にはどうなったかをチャートで見てみましょう。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成
※青い丸=埋まった窓、赤い丸=埋まっていない窓

ブレイクアウェイギャップが必要と考えた理由

日経平均株価は、25日移動平均線を下回ったところから、7月6日に一気に上昇して25日移動平均線上を回復する結果となりました。また、コモンギャップが発生したわけではありませんが、6月16日の終値や6月23日の取引時間中の高値も終値で上回りました。

このように、上値の抵抗と考えていた水準を終値で上回れば、上放れと考えるのが一般的ですが、今回はそうなってはいません。たまたまなのでしょうか。

そこで重要なのが、窓の意味を考えると同時に、その強さも考えなければならないということです。

これまで窓には4つの種類があるとお伝えしてきましたが、今回のようなもち合いのケースで、上放れするためには、それだけ強いエネルギーが必要になると考えられます。

すなわち、上放れするためには6月16日の高値を上回ったあと、6月8日の高値に接近したり、上回ったりする必要がありますが、今回のようにわずかに高値を上回ったような上昇では、そうしたエネルギーが不足しているのではないかと考えられます。

結果として、終値で6月16日以降の高値をすべて上回ったものの、上放れることができずにもち合いが続く状態になっているのが分かります。

テクニカル分析では、分かりやすくするために、ブレイクアウトの考え方や水準を定義していますが、実戦で活用するときは、例えばもち合いをブレイクするためにどの水準を超えなければならないかを常に考える必要があります。

そして今回のケースのように、直近の高値をブレイクした後すぐにまた高値があるなど、上値の抵抗と考えられる水準が続くときは、それだけ強い上昇エネルギーが必要になることを頭に入れておかなければなりません。

そうすれば、将来同じ場面に遭遇したとき、高値掴みを避けることができると同時に、トレンドの発生を読み解く力がつくようになるのではないかと思います。

今後の動向は?

では、今後の動向についてはどう考えればよいのでしょうか。このように、高値を更新しても上放れできないようなケースでは、もち合いが続くことが考えられます。しかし、一方では一旦高値を更新していますので、上向きに変化した5日移動平均線上を維持するかどうかが次のポイントになります。

仮に5日移動平均線上を維持するようですと、窓が発生しなくても、高値を更新することが視野に入ってきます。その反面、5日移動平均線上を維持できないようですと、もち合いの下限となる6月15日の安値近辺まで反落したり、下放れする可能性が出てきたりすることも考えられます。

そのような可能性も考慮し、買いポジションを持っている投資家は売り時を逃さないようにしたいところです。