5日移動平均線を割り込み、200日移動平均線も下回る

前回のコラムでは、「75日移動平均線が上向きに変化するようなら、反落する場面があってもサポートになることが期待されるほか、上昇トレンド発生のカギになるかもしれません」と解説しましたが、75日移動平均線の方向が安定せず、上下動している状態になっています。

その理由として挙げられるのが、株価水準の切り下げです。75日移動平均線は75日前の株価と現在の株価が入れ替わって方向が変化しますが、11月18日と19日は当日の株価が75日前の株価を下回っているため、75日移動平均線がわずかに下向きになっています。

ただ、今後は75日移動平均線が本格的に上向きに変化するかもしれません。なぜなら、75日前の株価が8月5日にかけての暴落時と入れ替わるため、75日移動平均線が上向きに変化することが考えられるためです。

一方で、5日や25日、200日の移動平均線を下回っているため、これらの移動平均線を上回って維持できずに現在の株価水準が続くような場合は、きっかけ次第で75日移動平均線を下回ることが考えられます。楽観はできない状態が続いていると言えるでしょう。

【図表】日経平均株価(日足)
出所:i-chartより株式会社インベストラスト作成 
※移動平均線は5日、75日、200日を表示

モメンタムが上昇できるか要注目

続いて、上昇と下落の勢いを教えてくれるモメンタムを見ると、どうでしょうか。モメンタムとその移動平均線であるシグナルの両方が、上昇と下落の勢いの判断の分かれ目となる0ライン近辺で推移しており、上昇も下落も勢いが出ていないことが分かります。

こうした状況から、モメンタムとシグナルが上下どちらに動き出すかが注目ポイントになります。仮に2本線が低下し始めるとともに水準が切り下がっていくようなら、75日移動平均線が上向きに変化していた場合でも、株価が75日移動平均線を下回って戻せなくなることが考えられます。そのため、下降トレンドの発生に注意が必要になります。

一方で、2本線が上向きに変化して上昇するようなら、5日や200日移動平均線を一気に上回って4万円に接近することも視野に入るのではないかと思われます。株価水準が徐々に切り下がってきている日経平均株価ですが、もち合いが続いたり、株価水準が切り下がったりするような場合は、下降トレンド発生の可能性が高まるため注意しておきたいところです。