ボラティリティーが急騰した3月の米ドル/円
3月の米ドル/円の一日平均値幅は2.05円となり、2円を上回った。一日平均値幅は、1月が0.5円、2月が0.73円。要するに、米ドル/円はそれまで1日に0.5円程度の値幅で動くのが普通だったところから、3月は一気に2円の値幅で動くのが当たり前といった具合に変わったわけだ。
それにしても、1日の平均値幅が2円以上というのはかなり大きい。結論的に言うと、それこそまさに「リーマン・ショック並み」といえるものだ。
ちなみに、近年の大相場で比較してみよう。「トランプ・ラリー」とされたのは2016年11月、そしてアベノミクス相場が急伸した黒田日銀総裁の「サプライズ緩和」を受けた2度の大相場、黒田バズーカ1、黒田バズーカ2はそれぞれ2013年4月と2014年11月だった。この3つの大相場では、米ドル/円の一日平均値幅は1.37円、1.07円、1.48円だった。
このように最近の大相場と比較してみると、一日平均値幅が2円以上となった今年の3月は、いかに高いボラティリティー(変動率)だったかがよくわかるのではないか。そして、この3月と同様に、一日平均値幅が2円以上となったのが、リーマン・ショックの大相場だった。
リーマン・ショックとされる中で、米ドル/円が最も大きく動いたのは2008年10月だったが、この時の一日平均値幅は2.71円だった。「さすがリーマン・ショック。コロナ・ショック以上の高いボラティリティー」と考えるか、「コロナ・ショックは確かにリーマン・ショック以来の大荒れ相場」と考えるか、様々だろう。
米ドル/円の一日平均値幅は、リーマン・ショック最大を記録した2008年10月の後も、1.5円前後の大幅な状況が翌年3月まで5ヶ月続いた。これを参考にすると、今回の場合も、高いボラティリティーはまだしばらく続く可能性がある。3月19日付け「FX相場急変時の心構え」でも書いたように、これまでよりリスクを抑制するなど慎重な取引が必要になりそうだ。