週明けの東京市場は先週末のNY株式市場の急落を受けて全面安で始まりそうだ。春節の休場明けとなる上海株式市場はほぼ間違いなく大幅安となるだろうから、それを嫌気した売りも重なるだろう。先週末のシカゴの日経平均先物は2万2710円で引けた。大証の終値対比420円安だが、週明けの日経平均は上海市場の影響も受けるだろうから500~600円安程度まで下げ幅を広げる恐れがある。一目均衡表の雲の下限が2万2700円なので雲の中でとどまれるかどうかがひとつの目処だ。
春節の間も取引されていたシンガポール市場のFTSE中国A50指数先物は1月17日の高値から30日の安値まで13%下落している。中国が春節の休みに入る前、最後の取引の終値からは7.7%安。香港のハンセン指数は直近高値から安値まで9%超の下落。上海市場の値幅制限が上下10%ということを考えれば、上海総合は250~260ポイント程度の大幅下落になるかもしれない。
ただ、中国人民銀行は公開市場操作(オペ)で金融市場に1兆2千億元(日本円でおよそ18兆円)を供給すると発表した。1日のオペとしては異例の規模だ。当局がなりふり構わず市場の動揺を抑えにかかっている。この効果も考えると、200ポイント安程度でとどまるかもしれない。
週初の大幅安は仕方ないとして、その後どこまで冷静になれるかがポイントだ。冷静になるというのは、例えば上海市場が上記のような大幅安になったとしても、それは「驚くこと」ではないからだ。むしろ当然のことだ。上海株が大幅安にならなかったら、かえってそっちのほうが驚きである。であるなら、それに連れて日本株が売られるというのも、本来はおかしい。日本市場はすでに新型肺炎のニュースで大きく下げている。春節の間、他のアジア市場が休場のためヘッジ売りを一手に引き受けて売られた部分もあったという。ならば、本土の株式市場が開いて、そちらの株価が大きく下がっても本来、影響はないはずだろう。むしろ中国株を売る際に日本株に出していたヘッジ売りを巻き戻すのが筋というものだ。
米国株相場の大幅安にしても、それはこれまで米国株が高止まりしていて、その分一気に調整したに過ぎない。ダウ平均の高値から先週末の下落率は3.7%で、日経平均の2万4000円台の年初来高値から先週末終値までの下落率と同等である。日経平均の直近安値2万2977円までの下落率は4.6%だからそこまで至っていない。ダウ平均600ドル安と聞くと驚くが、アップル、ビザなど下落の大きい上位5銘柄でダウの600ドル安のほぼ半分を占める。IBMなどは大幅高となっており、全面安ではない。
S&P500とナスダック総合の高値からの下落率は3%前後で調整のうちに入らない。ナスダックはようやく25日移動平均を下回ってきたというレベルだ。
そしてなによりVIX指数はまだ18台である。不安心理の高まりとされる目安は20だから、まだそれほどの波乱という域には達していない。
今週は決算発表が佳境に入る。3日のパナソニック、村田製作所、4日のソニー、そして6日のトヨタなどが注目される。
月初にあたり米国では重要イベントや経済指標の発表が相次ぐ。経済指標では、ISM製造業景況指数、ADP雇用統計、ISM非製造業景況指数、そして週末には雇用統計が発表される。
3日のアイオワ州の党員集会からいよいよ民主党の大統領候補者指名争いの幕開けである。ここでの選挙戦に力を入れてきたブティジェッジ氏がどこまで伸ばせるか、要注目である。
今週の予想レンジは2万2500~2万3300円とする。