つぶやきに関するお客さまからのお便りに目を通していたら、私の子供の頃の話、何をして、どう考えてそうしたのか、などをもっと聞きたいという声がありました。今更ながらという感もあるのですが、令和の始めに私の原点を見つめてみるのも一興かと思い、ちょっと考えてみました。
私の幼少期の思考活動で、覚えている一番最初の出来事、しかも強烈な印象と記憶を伴っている出来事は、ひとつ明らかにあります。あれは幼稚園の年少の時です。私は何かをして、親父に叱られました。「なんでしたんだ!」-幼稚園生の私が泣きながら答える-「先生がいいって云ったから」-親父、烈火の如く怒り、当時まだ吸っていた煙草を片手に、私の手に押しつけ掛けて怒鳴る、「お前は教師が人を殺せと云ったら殺すのか!」-母親が止めに入って根性焼きは逃れましたが、この出来事が私の性格と行動パターンの形成を決定付けました。
他人のせいにしては一切いけないんだ。他人の云うことを鵜呑みにしてはいけないんだ。自分のすることは全て自分で考えて自分で決めて実行しなければいけないんだ。そうしてそうすることが正しくて、いやそうすることだけが正しいんだ。そう叩き込まれた私は、以来、先生の云うことを無条件で受け入れることは一切なくなり、世の中の誰の云うことであっても疑問を持ち、全ては自分で決めるようになったのでした。若干の誇張があると思いますが、概ねこの通りです。
父は昭和9年生まれの下町育ちで、空襲をボコボコ受けており、終戦と共に空が初めて青く透き通ったと感じた世代であり、全体主義に対する反骨精神が極端に強い人で、その影響をモロに受けました。その結果、私は小学校2年の終わりに退学になり、そのあとも多くの先生を困らせ、しかし助けてくれたのも先生なのですが、それらの話はまたいずれします。
私の原点は批判精神、他人の云うことを丸呑みに信じない、自分で判断して自分で決める、その原点の所以はそんな所にあるのでした。(ちょっと昭和な話ですね)