先週金曜日の米株式市場でダウ平均は500ドル近い大幅な下落となった。終値は2万4100ドルと5月上旬以来ほぼ7カ月ぶりの安値で終えた。中国や欧州の景気減速を示す経済指標が改めて投資家心理を冷やしたとの声も聞かれるが、目新しい話ではないだけに、実際のところ何が大幅安の原因かはよくわからない。とにかく不透明要因だらけでセンチメントの動揺が続き、ちょっとしたことで売りが止まらなくなる ― それが今のマーケットだ。

ニューヨークは大幅安となったが東京が先行して下げているだけに週明けは米国株への連れ安はないだろう。日経平均のPERは11倍台にまで低下。概ね、ボトムであろう。日経平均が2万1000円の大台をキープできれば、底堅さを意識した押し目買いが入る水準だ。

今週の最大の注目はFOMC。東京―欧州―ニューヨークと世界株式市場の急落はFOMCでの利上げ見送りを「催促」しているように映るが、今回の利上げは市場の織り込み通りに実施されるだろう。問題は今後の見通しだ。9月時点ではFRBは19年に3回の利上げを見通していたが、据え置きか、あるいは2回、1回に利上げペースを減速するのか。声明文やパウエル議長の記者会見でのトーンはどうか。米国の金融政策の変更を探る一大イベントだ。

読みとしては、利上げペースの減速が示され、それを好感して米国株は反発するだろう。為替は円高にふれるだろうが米国株の反発のほうが日本株相場には支えになるだろう。

日本でも大きなイベントがある。ソフトバンクの上場だ。当社が引受幹事に入っているので、ソフトバンクについてのコメントはできないが、このIPOの成否が市場全体のムードを左右することは間違いないだろう。日米とも重要なイベントを通過して、市場にあく抜け感が広がることを期待したい。

中国政府は19~21日に、来年の経済政策運営方針を決める中央経済工作会議を開催する。インフラ投資拡大、減税や追加緩和などの政策が公表されれば上海株の支援材料になりそうだ。

予想レンジは2万1200~2万1900円とする。