まずはなんと言っても米中首脳会談の結果を受けた相場の反応である。米国は中国への追加関税を90日猶予すると決めた。交渉決裂、対立激化の最悪シナリオを回避しただけでも意味があるが、期限を設定して重点分野を協議するというのは何らかの合意に双方が歩み寄れる可能性が出てきたということで、非常にポジティブだ。関税撤廃といった完全解決には至らなくても一時的な休戦をマーケットは好感するだろう。
ジョージ・H・W・ブッシュ元大統領の国葬が5日にワシントン大聖堂で開かれる。同日は「国民追悼の日」とし、連邦政府機関は閉庁する。ニューヨーク証券取引所、ナスダック取引所も休場となる。
月初の週とあって米国の重要な経済指標の発表が相次ぐ。ISMの製造業・非製造業景況指数、貿易収支、そして週末には雇用統計。地区連銀経済報告(ベージュブック)も発表になる。指標も重要だが、今週の注目はパウエルFRB議長が上下両院合同経済委員会で行う議会証言だ。パウエル議長は先週、「政策金利は中立金利のわずか下」という認識を示し、これにマーケットは大きく反応した。議会証言で改めて同様の見方を示せば、米国長期金利の低下材料になるだろう。株式相場にはポジティブだが米ドル/円相場にはどうか。利上げ打ち止めは米景気にとっての支援材料なのでドルはそれほど売られないと思われる。なお議会証言は5日に予定されている。5日が「国民追悼の日」となったからには当然延期されると思われるが委員会のスポークスマンは土曜日の段階では延期についての明言を避けていた。
その他のイベントは6日にOPEC(石油輸出国機構)総会と独CDU党大会(8日まで)が開かれる。原油とユーロ、ともにリスク選好の度合いを測る指標となる相場を左右するイベントだけに目が離せない。
国内では週初に法人企業統計の発表があるほか週末の景気動向指数にも注目したい。個別では武田薬が、シャイアー買収案に関する臨時株主総会を5日に開催する。米国では6日のブロードコムの決算発表に注目したい。このところハイテク株の調整に一巡感が出ており、決算発表で売られる悪い流れが断ち切れるかを見定める材料になる。
日経平均の予想レンジは2万2300円から2万3100円。海外市場の展開次第で2万3000円台奪回もじゅうぶん視野に入ると考える。