日本株の地合いが急速に改善してきた。日経平均は先週金曜日、取引時間中に一時27年ぶりの高値をつけた。今週は終値でも1月の高値2万4124円を抜いて、27年ぶりの高値更新となるだろう。但し、その前には調整する場面があるかもしれないが、押しは浅く、かつ短期で済む。この急騰に乗り遅れている投資家が押し目を買うからだ。
日経平均の25日移動平均乖離率は4.7%。5%が調整の目処とされる。東証一部の騰落レシオ(25日平均)も130を超えている。こうしたテクニカル的な過熱感から、一旦は調整が必要かもしれない。
中国国家統計局が30日に発表した9月の製造業購買担当者景気指数(PMI)が16年9月以来2年ぶりの低水準となったことも悪材料のひとつ。但し、今週は中国は国慶節で、上海市場は休場。中国株に振り回されるリスクがないのはありがたい。
1日には9月の全国企業短期経済観測調査(短観)が発表される。大企業・製造業の業況判断指数(DI)は前回6月から横ばい、非製造業は2年ぶりの悪化が見込まれているが、あまり相場の材料にならないだろう。
それより、やはり米国の主要統計のほうが重要だ。1日にISM製造業景況指数、3日にISM非製造業指数、5日に雇用統計が発表される。ISM製造業景況指数は若干低下が見込まれているが60という高水準をキープするだろう。雇用統計のNFP(非農業部門雇用者数)は19万人増程度の見込みだが、問題は賃金だ。
前回8月の平均時給は前年比2.9%増と9年ぶりの高い伸びになった。これが今回、もしも3%に乗せるようなら長期金利に上昇圧力がかかり、株価下落要因になるというリスクが市場の一部で懸念されている。だが、僕は市場の予想通り、前年比2.8%程度にとどまるか、よくて前月と同水準だろうと思う。なぜなら昨年9月の平均時給は急上昇したため、発射台が高いのだ。前年比で3%の伸びになるには、前月比で5.3%上昇しなくてはならない。さすがに前月比5%の上昇はハードルが高いといえる。
米国が一方的に9月末を交渉期限としている米・カナダ間のNAFTA再交渉だが、本稿執筆時点では何も伝わっていない。安易な合意はしないとするカナダのトルドー首相だが、10月1日のケベック州議会選が過ぎれば、急転直下で合意に至る可能性が高いと見ている。無論、リスクオンの好材料である。
今週のレンジは23,800 - 24,500円とする。