1.概況
本日の日経平均は241円高の2万1788円と5日ぶりに反発しました。TOPIXやJPX日経400、東証2部指数や新興市場のマザーズ指数など主要指数は総じて上昇しました。なかでもマザーズ指数は3%近く上昇しています。昨日の米国市場で主要指数が反発したことを受け、日経平均は100円高の2万1647円で寄り付きました。日経平均は寄り付き後に上げ幅を広げると250円高近くまで上昇する場面がありました。午後に米国の対中追加関税の発動を控えて警戒感も出たのか日経平均はやや上げ幅を縮めると前場を144円高で終えました。日経平均は後場に入り米国の対中追加関税が正式に発動されると悪材料出尽くしが意識されたのか再び上げ幅を広げて14時35分に319円高と1日の高値をつけました。引けにかけてやや上げ幅を縮めたものの、日経平均は結局241円高と大きく上昇して取引を終えました。東証1部の売買代金は2兆4273億円となりました。東証33業種は医薬品や電気機器、卸売業など27業種が上昇しました。一方で石油石炭製品、保険業、空運業など6業種が下げています。
2.個別銘柄等
東証1部の売買代金上位銘柄はほとんどが上昇しました。売買代金トップの任天堂(7974)こそわずかに下げたものの、トヨタ自動車(7203)、ソフトバンクグループ(9984)、エーザイ(4523)、ファーストリテイリング(9983)、ソニー(6758)、村田製作所(6981)、キーエンス(6861)などが軒並み上昇しました。なかでもエーザイは開発中のアルツハイマー治療薬の臨床試験で良い結果が出たと発表したことが好感されストップ高となりました。その他材料が出たところでは、ドラッグストアのクスリのアオキ(3549)がストップ高となりました。前期決算が従来の会社予想を上回って着地したほか、今期予想も堅調だったことが好感されました。一方で沖縄県でスーパーマーケットなどを展開するサンエー(2659)が4.5%の大幅安で年初来安値を更新しました。第1四半期の営業利益が前年同期比5.9%減と冴えなかったことが嫌気されました。また、ディスプレイデザイン会社の乃村工藝社(9716)は大幅な減収減益となった第1四半期の決算内容が嫌気され4.2%の大幅安となっています。
【VIEW POINT: 明日への視点】
マーケットの重荷となってきた対中追加関税が正式に発動され、一旦はアク抜けが意識されたのか日経平均や新興市場のマザーズ指数は反発しました。ただ、貿易戦争問題はまだ解決したわけではなく、今後も一定の注意が必要と言えそうです。本日の日本時間21時半に米雇用統計が発表されます。市場予想では前年比の平均時給が2.8%増と前月の2.7%増から上昇ペースが加速すると予想されています。
(マネックス証券 マーケット・アナリスト 益嶋 裕)