1/12付の「マーケット・スナップショット」でも書いたが、リターン・リバーサルが顕著である。昨年パフォーマンスがふるわなかった証券、不動産、銀行などが年初来上昇率ランキングの上位に並ぶ。FA・ロボット関連の電機・機械が相場の主役であるが、日経平均が2万4000円の大台に迫るなか、さすがに高値警戒感もあって出遅れ銘柄を物色しようという動きもあるようだ。この出遅れ修正の流れに乗ってみるのも、ひとつの手である。TOPIX500構成銘柄のなかで昨年の株価変化がマイナスだったものは94銘柄あるが、そのなかで拾っても良さそうなものをピックアップした。
昨年の業種別下落率のトップは電力株だった。ワースト2位~4位の不動産、証券、銀行が戻るなか電力株はリバーサルの動きから取り残されている。無論、不動産、証券、銀行セクターは単なるリバーサルだけでなくデフレ脱却期待から買われている面もあるので一律に比較できないが、それでも不動産、証券、銀行セクターが戻ったことで電力株の出遅れ感は一層強まっている。
昨年の下落率が3割を超えた北陸電力は、志賀原子力発電所の稼働停止が続き、火力発電のコスト増による収益悪化、そしてそれを受けた無配転落が投資家の離散を招いた。しかし、4月から電気料金の値上げに踏み切る。これを受けて業績は急回復するというのがアナリストの見立てである。しかし、株価は業績回復見通しをまったく織り込んでいない。業績が戻れば、電力株の存在理由とも言える復配に動くだろう。
九州電力には玄海原発再稼働という明確なストーリーがある。再稼働時期について、3号機は2018年3月、4号機は同5月にそれぞれ延期されたが、神戸製鋼のデータ改ざん問題に関連して自社調査に時間がかかるためで九電の落ち度ではない。いずれにせよ原発再稼働で大幅に業績が改善するのはほぼ確実。来期のコンセンサス予想ではPERは6倍まで下がる。僕は電力株は好きではないが、この水準なら拾ってもよいだろう。
昨年は自動車もパフォーマンスが悪かった。言わずもがな、無資格検査問題で売られたわけだが、本質的な問題ではない。とくにマツダは問題がなかったのに連れ安した感がある。このバリュエーションならじゅうぶん買えるだろう。欧州の自動車メーカーと同等のPERだ。折しも、北米国際自動車ショーが開かれ、新たな産業革命の中心には、やはり自動車が来るのだと思わせる発表が相次いでいる。自動運転の本命である日産も、もっと見直されてよいと思う。
昨年のパフォーマンスが13%安と低迷したシマノ。自転車部品の原材料である鋼材やアルミの調達価格の上昇や、ドル安に伴う為替差損が利益を圧迫、下方修正が響いたが、株価は昨年9月につけた安値を底に回復基調にある。そもそもシマノといえば欧州関連株。自転車は欧州では大変人気のあるスポーツだ。その欧州は今、めちゃくちゃ景況感が良い。それが足元のユーロ高の根本にある。欧州景気の回復とユーロ高の恩恵に浴する銘柄である。株価は200日移動平均を抜ける目前まで復調している。
他の銘柄についての言及は、また追ってしたい。