北朝鮮に絡む地政学リスクが短期的に後退し、昨日7日は株式市場にやや楽観ムードの気持ちで会社に出勤いたしましたが、まもなく、コーン米国家経済会議委員長が辞任したとの報道が流れました。南北首脳会談の決定でもあまり円安方向に振れなかったドル/円相場でしたので、円買いが少しでも入ると、一気に1ドル=105円台半ばまで突っかける動きに。なかなかレンジを切り上げることができません。日経平均も前半で織り込んだ(朝安後に下げ幅縮小)ふりをしながらも、後場は再び下落。ほんと、弱いですねぇ。

さて、あすは3月限の先物・オプションの決済期日を迎えます。それが通過したあとは、相場の上げ下げに対するいろんな思惑の売買がいったん減少します。SQ前後は分岐点になりやすいといわれますが、果たしてどうか?振りかえると、アベノミクス相場で最初の試練となったバーナンキ・ショック(当時のバーナンキFRB議長が量的緩和を縮小する可能性を示唆した)といわれる急落直後の相場も6月のメジャーSQ直前で底打ちとなった経緯があります。裁定解消売りが原因で株価が大きく下落しましたが、売りが出切ったことで底打ちするパターンでした。今回も裁定解消売りが下げの要因となり、買い残は直近ピークから大きく減少しました。来週前半には日柄の変化日なども到来し、月末に向けて重要なフシ目を迎えそうです。
決算月ということで益出しの売りや持ち合い解消売りなどが上値を抑える要因となりますが、上手くいけば、2月急落後の2回目の買い場到来(1回目は 2月15日のコラムでコメントいたしました)になるかもしれませんね。日経平均のパターンは昨年の9月にボトムを打つ動きが参考になりそうです。

もう一点、重要なのは、今週末に発表される米2月雇用統計の結果です。2月の株価急落のきっかけになったといわれている賃金の上昇率に再び注目が集まります。1月はインフレ率を予想する平均賃金が2.9%増(前年比)となり、2009年6月以来の高い伸びとなりました。この1月分の発表直後のように、米10年債利回りや株式市場が同じ反応をすることに警戒感は拭えません。しかし、個人的には前回と同じ反応はしないような気がします。パウエルFRB議長の議会証言によって年4回の利上げをいったん織り込んでいるため、今回は少し違うような気がします。例え、そこそこ強い結果となっても、米10年債利回りはサプライズ的な上昇はぜず、やや水準を切り上げる程度ではないでしょうか。雇用統計の強い結果で米10年債利回りが上昇したとしても、今度は円安要因となり、日経平均は今よりもましになる、なって欲しい。

3月のドル/円に関していえることは、アノマリーです。2009年以降の3月相場を振り返ると、2009年~2015年まではすべての年で月足は陽線(月初よりも月末の方が、円安が進んでいること)でした。2016年と2017年は陰線でしたが、月の前半は少なくとも円高にはならなかったという経緯があります。また、2012年以降、昨年を除いて、1月か2月に年間の安値を付けている点なども頼もしい。少し前、ドル/円について、105.50円付近が重要とコメントしました。2月中旬に付けた安値を3月に入ってやや割り込む場面はありますが、ロスカットの円買いを交えて一段と円高が進む雰囲気ではなく、どちらかというと円買い飽きムードに変わってきている。ゴールデンウィーク前後に向けては、大企業の想定レートである109.50円~110円程度まではあるものと期待しています。

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ