日経平均は2日に2万円台を回復しました。というわけでもないのですが、今回は日経平均の足元までの動きを振り返り、今後のイメージをお伝えしたいと思います。できるだけ簡単に書きますので、チャートを見ながら読んでいただけますと幸いです。
2009年安値(7,173円)から2015年高値(20,724円)までの長い上昇を通じて、2007年高値(18,238円)やITバブル時の高値(20,434円)を上抜ける動きになりました。2015年高値からは、比較的大きな調整幅だったわけですが、おおむね2007年高値を中心とするような感じで下げ止まり、最近は直近高値に向けて戻りを試す展開になっています。

さて、2015年高値を上回ると、上値余地は広がると思われます。その際の上値メドは、過去の同じ水準で上昇幅として動いてきた7,500円~8,000円程度(図表内のオレンジ色のライン)を、昨年安値(14,952円)から加えた、ざっくり感の水準で22,500円~23,000円になります。一方、1992年からIT相場にかけてレンジ相場のような動き(赤丸の部分)がありました。こうやってみると大した動きにみえないかもしれませんが、上げたり下げたり大変な時代でした。今ちょうど同じ水準にいるため、やはり乱高下しやすい水準と考えることもできます。
2015年高値をこのまま先に上抜けていくと、その後の調整はさほど大きくならないと思います。しかし、2015年高値を抜けない状態が続くようだと、例えば、世界的な株安局面などがあれば調整値幅が大きくなる可能性が高まり、2007年高値さえも下回る動きがありえる、といえる水準に現在いることも忘れてはいけないような気がします。

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短期的な動きでみると、まだまだ高値モミ合いに近い動きといえますが、一応は年初来高値を更新しましたので、上昇トレンドについて行くスタンスでしょう。一段高が期待できる局面です。今週に入ってからは2万円乗せに対する反動安が続いていますが、25日線(19,788円7日現在)までの調整にとどまるかが焦点となります。ただし、早々に株価に強い反発がみられないと、25日線の上昇がストップし、6月後半ぐらいまで株価の調整(モミ合い)を長引かせる要因になります。

5月中旬からの日経平均とドル/円相場は、一般的にいわれる円安・株高、円高・株安方向に連動しておらず、「円高・株高」になっており全く逆方向に動いています。なので、今の円高を「円高・株安」のイメージでいると、株の押し目買いに躊躇してしまうでしょう。ただ、ドル/円相場は下方で推移している52週線が上昇に転じてきており、4月の時と同じように今回の円高局面も52週線でサポートされる可能性が高いのです。
では、4月安値とこれから付けようとしている安値とで、二番底(2点底)を形成し円安方向に反転した場合、株価はどんな反応を示すでしょうか。今までは「円高・株高」だから、今度は「円安・株安」でしょうか?そんなことはないでしょうね!

仮に、今の株高が、円高から円安になっていく姿を先んじて織り込んでいるとしたらどうでしょう。昨年を振り返ると、日経平均は2月と6月に同じ水準の安値を付け、その後はジリジリと上昇し、トランプ相場で加速しました。一方、ドル/円相場は9月後半まで円高懸念が拭えませんでした。両者はそこで大きくずれたので、またどこかで合わなくなるのです。それが今の「円高・株高」、2万円台乗せという現象面に表れているとすれば、円安トレンドに反転した際には、22,500円~23,000円のターゲットも満更ではない。近い将来、「あ~失敗した、そういえば、あのとき低迷していたトヨタ自動車(7203)の配当利回りって、3%超えていたよね?」、なんて言わないようにしたいものです。

最後にお知らせです。6月23日(金)、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、SMBC日興証券チーフテクニカルアナリストの吉野豊氏を講師としてお招きし、講演会を開催いたします。2017年の折り返し点を迎えるにあたって、2016年12月に掲げた『2017年の相場展望』の見通しを検証した上で、一目均衡表の時間サイクルと価格の分析に基づいて、2017年央以降の相場予測を考えていきます。また、2015年央以来、2年におよぶ踊り場を離脱して、日本株式市場全体の上昇拡大が見込まれる中、個別銘柄選定のポイントについても解説していただけます。
ご興味のある方は、NTAAのHPから、ぜひお申し込みください。 http://www.ntaa.or.jp/ntaw/02-cnt/uploads/2017/06/201706kouen_yoshino.pdf (外部サイトへ遷移します)

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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