このところNY原油相場が堅調です。ロシアとサウジアラビアが共同声明で、原油の協調減産を2018年3月まで延長すると発表したことが、上昇に拍車をかける要因となりました。22日には6月限が50.8ドル(=1バレル)まで上昇。25日は石油輸出国機構(OPEC)の総会があります。この減産延長がどの程度まで織り込まれているのかどうかが、原油相場全体の注目ポイントといえます。
さて、NY原油相場というと、株式市場では米国のエネルギー企業と連動し、ダウ平均にも時折影響を与えるというイメージが強い。確かに、過去を振り返るとNY原油相場と米国のS&Pエネルギーセクター(以下、エネルギー)の値動きは連動しています。
一方、図表のダウ平均とエネルギーをご覧いただきますと、2014年夏場以降、明確にズレが見られるようになっており、2016年12月からは逆行する動きになっています。エネルギーが低迷する一方、ダウ平均はITセクターがけん引し上昇しています。けん引役が変わったといえども、エネルギーの弱さが目立ちます。NY原油相場は2月まで上昇していたのに、エネルギーは昨年12月後半から下げています。現在は52週線を下回っています。これが瞬間的な動きならいいのですが、エネルギーは2016年12月まで大量の買い戻しによって買われ過ぎた結果、ここから年末に向けての52週線は下落転換しやすい可能性が高まっています。株価はますます弱くなります。
何を意味しているのか。株価が将来動きうるパターンから逆算して考えますと、エネルギー企業の株価下落、背景にあるのが原油相場の下げによる収益の悪化だとすれば、今の短期的な原油相場の戻りにはまだ疑心暗鬼が解けない。6月から弱くなるケースが多い過去のアノマリーがあることなどにも注意すべきかもしれません。

20170525_DZH_graph01.png

最後にお知らせです。明日の5月26日(金)、私が所属している非営利の団体・日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)では、元衆議院議員の増原義剛氏をお招きし、『政治と株』と題し、豊富なご経験の中から幅広い角度でお話していただきます。景気対策や金融政策、政局動向、選挙などは株価に対して大きな影響を与えます。普段では聞けない、政治の裏側から操る株式市場とはいったいどういうものなのでしょうか。ご興味のある方は、NTAAのHPから、ぜひお申し込みください。 http://www.ntaa.or.jp/ntaw/02-cnt/uploads/2017/04/20170526kouen1_masuhara.pdf
(外部サイトへ遷移します)

東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

「トレーダーズ・プレミアム」は、個人投資家の心強い味方です!! (DZHフィナンシャルリサーチのウェブサイトに遷移します。)