米大統領選挙はトランプ候補の勝利に終わりました。誰になっても、大統領が長期の景気循環を大きく変えることはないと思いますが、さすがに9日の東京株式市場は結果が明らかになるにつれて、株、為替ともに乱高下しました。目先的には不安定な余韻が残るかもしれません。ただ、日経平均は8月の安値を下回りましたが、それでも6月以降の上昇の軌道が変わったと判断するのは時期尚早です。
むしろ、トランプ大統領でダウ平均の史上最高値更新の可能性が高まったのではないかと思います。一国のトップが変わる、世界のトップが変わる、ということは、いろんなことが変わることになるため、短期的には経済を押し上げる可能性が高い、期待値が高い。債務上限問題や景気対策なども共和党主導で敏速に進むことになる可能性大です。外交政策に懸念はあるにしても、そもそも人種の違いや考え方の違いなどから、いずれにしても難しい問題です。一方、クリントンがもし当選していたら、おそらく市場のポジティブな反応は限定的だったと思いますし、期待値はそこまで高まらなかったことでしょう。この先、当面トランプねた(言動)に市場が気をとられているうちに、FRBは市場の混乱を気にすることなく、12月に利上げをやりやすくなるかもしれない。
9日の東京株式市場が終わったあと、欧州株が大して下げなかったことや、ドル/円の103円台への戻り、日経平均先物が夜間取引で急反発していたこと、などなどを見ているうちにそう感じました。まあ、ロンドン時間から意外とリスク回避にならなかったのは、ブレグジットのあとの株高の経験則がある程度効いているのかもしれませんが・・・

今、米国株式市場で比較的元気なのは、ダウ輸送株です。米主要指数がブレグジット直後につけた6月27日安値からみると、半導体株指数、銀行株指数に続いて上昇率が高い。ダウ平均の調整が続くなか、7日には年初来高値を更新しました。短期的にはダウ輸送株の方が上昇しやすい足になってきています。
ダウ輸送株をダウ平均で割った相対株価を示したものが、以下のグラフになります。もうひとつは日経平均です。相対株価がやや日経平均に先行する動きがみられるなかで、相対株価が約3年半の安値の周期(2001.10→2005.6→2009.3→2012.9→2016.1)となる今年の1月安値から3月につけた0.46倍の戻り高値を上回ってくれば、日経平均も4月高値を上回り底打ちムードが出てくるでしょう。

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東野 幸利
株式会社DZHフィナンシャルリサーチ

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