およそ1ヵ月前の話しですが、ドイツで開催された、テクニカルアナリストの世界大会に参加してきました。毎年どこかで開催される大会なのですが、今年は何故か「ベルリン」。パリで行われた二年前にも聴講者として一般参加しましたけれど、今回はスピーカーとして参加させていただきました。
IFTA(International Federation of Technical Analysts)大会といいます。
ベルリンへの直行便はないので、独りフランクフルト経由で行き、大会スタートの前日夕方にホテルに到着しました。大会は3日間(10月7日~8日)。私の出番は2日目の夕方でしたので、精神的に余裕はあったのですが、まあこんなことは1日目にやって、あとの2日間は聞く側にまわった方がよほど楽なものです。大会3日間のうち最初の日は今大会のメーンテーマによる個人発表があります。今回のメーンテーマは「行動ファイナンス」。2日目からは個人の自由研究というか、独自理論、発見、既存テクニックの検証・・・などもありますでしょうか?いろんなものができています。
毎回、そうですが、IFTA大会では新しい分析手法へのヒントや自分のテクニカルアナリシスの分野における自分の実力を再考するいい機会となります。最近はFXやコモディティ専門のテクニカルアナリストの参加も多く、なかにはかなり独創的な話しもありました。
しかし、「Ichimoku Chart」は有名になったものです。「Clouds Chart」という著書が出版されていて、大会でもちらほらと目に付きました。
今回の私のテーマは、「26の基準線を使ったポジション乗せと時間的ロスカットのタイミング」。文章で書いてもなかなか理解しづらいと思いますが、簡単にいいますと、相場で二番底(ダブルボトム)や二番天井(ダブルトップ)を形成するときに、二番底なら最初の安値から次の安値までの間にできる戻り高値があります。その戻り高値から26日以内に基準線(直近26日間のうちの高値と安値の中値)を超えているか、超えていないか、その時間的な制約をもって、ロスカットのタイミングにしよう、とする考え方です。マニアック過ぎるといわれれば、それまでですけど(笑)。
正直、私の前が欧州系テクニシャンによる「Clouds Chart」の話しだったので、そのあとは少しやりづらかった・・・
でも、このあたりはネタ的に結構好きなんですよ(笑)。外国人に受けもいい。今回は新興アラブ系のテクニシャンが多く、中国人も少しいたかな? 少し興味を持っていただけたような・・・自己満足の部分が大きいですが。
驚いたのは、私と次の日本人スピーカーが終了したあと、ある女性が寄ってきて、一目の「基本数値の謎解き」を話し始めるのです。要するに、このコラムでもたまにお話しする基本数値の「9、17、26、33、42、・・・」が、どこから出てきたものなのか?ということ。
凄いと思ったのは、偉大なテクニカルアナリストであった故佐々木英信先生の出された本(一目)をすべてその女性が日本語からドイツ語に翻訳した、ということらしいのです。一目均衡表独自の表現や言い回しなどをどのように訳されたのか、どのように今後伝わっていくのか興味ありですね。
大会最終日の夜はガラ・ディナーという、打ち上げパーティーのようなものですが、各国のテクニシャンみんなで食事しながら、主催国が次の年の主催国に大会を引き継ぐ簡単なセレモニーがあります。
来年はボスニア・ヘルツェゴビナの首都、「サラエボ」です。といってもお恥ずかしながら、どのあたりにあるのか知りませんでした。独りで行くのも不安ですが、やっぱり行きたいですね、あの雰囲気を味わうために。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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