米国株式市場ではS&P500とナスダックの史上最高値更新が続く

注目された米11月雇用統計を受けて、12月17日~18日に開催される12月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利下げ見通しが強まり、先週末(12月2日週)の米国株式市場ではS&P500とナスダックの史上最高値更新が続きました。しかし、個別ベースでは全体的に総上げという状況ではなく、短期的には高値警戒感が強くなっています。

例えば、S&P500は6,000p台に乗せてきましたが、値幅観測で行くと短期的には上昇一服になりやすい水準に接近してきました。2022年1月3日(月)の高値(4,796.56p)から、2023年10月12日の安値(3,577.03p)までは1,219.53pの下落幅が生じましたが、その下落幅に対する倍返しで上げた水準が6,016pです。また、こちらのほうが重要ですが、8月の急落前の高値である7月16日高値(5,667.20p)から8月5日の(5,186.33p)までの下落幅に対する倍返しで上げた水準が6,148pです。

騰落レシオと全米騰落レシオとの比較

一方、市場の過熱感や勢いをみる指標に騰落レシオ(値上がり銘柄数÷値下がり銘柄数)があります。全米騰落レシオ(25日)は12月6日現在で119.9%でした。これは、直近25日間でみると値上がり銘柄の方が多いことを示しています。しかし、短期の全米騰落レシオ(5日)でみると12月6日現在で96.6%まで低下し、直近5日間でみると値下がり銘柄の方が多くなってきました。

11月頃までは、騰落レシオ(5日)の方が全米騰落レシオ(25日)を大幅に上回って推移しながら指数の上昇が続いていましたが、足元は逆転していて、これが指数の反落調整の先行サインになるかもしれないという点には留意が必要です。

為替市場が円安方向に変われば、日本株独自の「掉尾の一振」があるか

米国株が下げると日本株も下げるのでは?という見方ができますが、それほど単純な話ではないかもしれません。S&P500は年初から27.6%程度上昇しているのに対して、東証株価指数(TOPIX)は15.2%と日本株には出遅れ感があります。8月急落後の安値を起点にみると、TOPIXの上昇率の方が勝っていて、それが足元の上値の重さにつながっているかもしれません。しかし、再始動の兆しも出てきました。

プライム市場の騰落レシオ(5日)は12月6日時点で、122.3%まで上昇しており、騰落レシオ(25日)の98.8%よりも高い水準にあります。12月3日に好転しました。8月以降、そんな現象が3回程度ありましたが、いずれも、短期的な株価上昇につながっています。プライム市場指数は9月以降の三角保ち合いが煮詰まってきたようにもみえ、ここで為替市場が円安方向に変われば、日本株独自の「掉尾の一振」はあるでしょう。