「抱き」の次は「押さえ込み」!の足ですか、「抱き(つつみ足)」で大陽線が示現したのは5月27日で、その次の28日、31日、1日の3日間で小さな足が三つ並びました。厳密にいうと、立ち上がった相場から陰線三本が連続して下押すパターン(三羽鳥とは違います)を「押さえ込み」といって、4本目の陽線で高値を超えてくると追撃買い・・・といわれます。
日経平均はその3日間のうち、真ん中が陽線だったので少し違いはあるのですが、ざっくりの解釈でいきましょう。それを前提にすると、2日(水)に上に長い陽線が立つかなぁ~とも思っていましたが、首相辞任などの出来事もあり実現ならず・・・。しかし、1日ずれてしまいましたが、きょうはそのような動きになりそうです。
31日の高値9,768円を終値で超えれば、25日移動平均線の10,200円処や、200日移動平均線の10,330円処に向けた動きが期待できそうです。

昨日は、鳩山首相の辞任報道でなく、小沢幹事長の辞任報道があった瞬間に株価は上に反応しました。その瞬間に次期首相は「菅氏」しかないと思ったのでしょう。確かに、昨年のドバイショック以降の相場が立ち直る局面では、日銀の金融政策との連携をアピールしたイメージは強いはず。
ところが、後場は一転して急速に下げる展開へ。その時は、安倍氏が辞任表明したときの値動きを思い出し・・・、実は2007年9月12日、安倍氏が辞意を表明した当日こそ値動きは荒く下落しましたが、翌日以降は急速に切り返し、10月限のオプションSQ前日(10月11日)まで一段高となったのです。まあ、今回は参議院選挙を約1カ月後に控えていますので当時とは環境は違いますけども、目先的な民主党後任人事を巡る動きや、週末の米雇用統計はじめ当面の米経済指標に対するマーケットの反応は注目です。

なぜ、米経済指標に対するマーケットの反応が重要なのか?といいますと、政治的に不透明要因が少し薄れたのはプラスです。ただ、それで本質的に相場の方向性が変わることはないでしょう。政策等々はタイミングが重要で、やるべきときにリーダーシップを持って実行力を発揮できるかどうかがポイントで、基本的には世界の株式市場や米中の経済指標の方が重要と思われるからです。実際、相場が動く局面では何が材料、背景なのかはわかりません。後講釈で材料視されることはありますが、小さな動きをしながらも本質的にはより大きな動きとして景気変動が重要だからです。
米経済や新興国経済の減退は、日本経済にとってダメージは小さくありません。業績面からみた株価のバリュエーションは株価下落で割安にはなったけれど、下方修正がここから伴ってくれば割安なものも割安ではなくなる、といったシナリオもあてはまってくるかもしれない。この先、株価の戻りの強さを見るしかない、その動きにヒントが隠されているでしょう。本格反騰か、ただのリバウンドなのかは? 

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ