東京市場、週初は大幅安となりましたが、何が原因でしょうか?マスコミなどは日本のGDP発表で材料出尽くしとか、中国株の下落などが要因として採り上げられています。
しかし、GDPは遅行指標ですし、ある程度の好転は見込まれていました。確かに最近発表される日米のマクロ指標の改善モメンタムは低下ぎみではありましたが、GDP発表をきっかけにといっても、その何が要因で売りになるのかわかりません。中国株もそうです。日本株が下げだしたのは今週からですが、中国株は8月5日から既に下げていますし、日本株が順調に上昇を続けたGDP発表前日まで、つまり先週末の段階で中国株は8月4日高値から12.6%も下げていました。
なぜ、日本株は遅れて下げたのでしょうか。昨年は世界同時株安という言葉が良く使われたように、同時に下げるケースが多かったような気がしますが、現在は少し違いますね。要するに、下げ始めの基点が違うという点に私なりの疑問があったのです。
週初に大幅安となった引け後、ある外資系証券の先物の売り手口が話題になりました。その証券会社はヘッジファンドなどが動くときに、よく目立った手口が出てくるのですが、一部にはCTA(商品投資顧問)がらみの売りとか・・・。債券買いの株先物売りの取引を行ったとの観測もありました。
以前、お話したことはありますが、日本はアジアの中の日本なのです。グローバルな運用の観点からは、アジア市場全体で配分比率が決まっているはず。中国株式会社は○%、日本株式会社は○%と決まっているはずなのです。中国株式会社の株価下落によって配分比率が低下すれば、アジア市場全体であらかじめ決められた配分比率に調整するために、日本株式会社の株を売らなければいけない。こんな構図ではないでしょうか。個人主導の下げ相場であんな下げ方はしないと思います。日足のチャート見てください。また、落ち着いたら見直し買いが入りそうな気がしますけど。
一昔は、世界の資金はアジア市場に流れるまえに、まずは米国市場に流れていました。今は逆とまでは言いませんが、中国市場はアジアのトップですから、そこを抜きに運用はできないし、運用競争にも勝てない。そういった意味で、まだ資本市場としては発展途上にある中国市場に過剰な資金が入り込むため、株価は急騰する。やや買いすぎた部分もあったに違いないのです。
国自体がバブルではないような気がします。内需、外需、IT投資、インフラ投資、いろんな意味でこんなに同時に発展していった国はあったのでしょうか。 中国の2009年第2四半期(4-6月期)のGDP成長率は前年同期比7.9%になりました。これは2008年10-12月期の6.8%、2009年1-3月期の6.1%を上回る数字です。中国政府が目標としてきた2009年通年の8%成長達成も視野に入ってきました。
GDP成長率7.1%の内訳をみると、回復を支えたのは資本形成(投資)と消費で、特に投資の貢献度が極めて大きい。投資が6.2%(88%)、消費が3.8%(53%)。投資プラス消費で10%に達したものの、純輸出がマイナス2.9%(-41%)相当と低迷し、全体の足を引っ張っています。アンバランスのようですが、輸出がまた回復してきたら面白いですね。
投資は長期的に高水準を維持することはないでしょうから、長期的には内訳構造が変わってくるんでしょう。あれだけの人口がいますから、・・・消費大国として今後十分伸びる余地はありそうな気がします。
株価は昨年10月の安値から2倍以上も上げましたから、瞬間的な調整はあって当然です。しばらく軟調な地合いが続く可能性はありますが、10年後あたりを見据えたらどうでしょうか。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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