昨年秋のリーマンショック以降、実力以上に株価が下がった銘柄はたくさんあります。その後、日経平均ですと3月安値7054円から、8月11日高値10585円までちょうど50%戻したことになります。その間、マクロ面の改善から企業業績の改善期待へと焦点が移り、再びマクロ面の動向が気になるところでしょう。しかし、短期的にはここからさらに改善基調が続くというのはどうでしょう。むしろ、ミクロの世界で業績動向がポイントになるのではないかと思います。あとは、直近の話題から考えますと政局でしょうか。マスコミは民主党がほぼ与党の感覚で動きつつありますが、足元、外国人主導で上昇していることを考えると、期待感という意味では意外とマーケットにとっては大きいのかもしれません。運勢的にも、今年は民主党の幹部のほうが日本にはあっているみたいですよ。

 ここからは個別企業の業績見通しに対する先見性が重要になってきます。このリバウンド相場では、全体の雰囲気に便乗して上昇した銘柄もあれば、本当に今後業績が好転する、あるいは企業の構造変化でこれから業態が大変貌するものも実はあると思います。
 きょうの新聞によると、ベトナム国営鉄道が日本の新幹線方式を導入するといったニュースなどがありましたが、今後新興国需要をどれだけ取り込めるかにかかっているともいえます。リーマンショック以前は日本企業は2番手3番手でしたが、金融危機によって1番手の国や企業が手を引いてしまい、結果的に1番手に押し上げられるケースだって考えられます。
 鉄道関連や水関連などは新興国には特に必要な分野といえますし、日本はその点は進んでいます。鉄道が環境にやさしいですし、これからも世界的にインフラ需要は増えてくるでしょうね。

 さて、弱気を言い続けた人や証券会社なども強気になってきたので、そろそろ何でもかんでもが上昇する相場はやや警戒したほうがよさそうです。右肩上がりの上昇相場のなかではファンダメンタルズでは説明がつかないと言いながら、説明がつくようなレポートが最近多くでるようになりました。株価の動きに合わせて業績を上方修正しているのです。
 ただ、今期見通しを据え置きにしてる企業が多い分、あとから上方修正期待は残りますよね。あまりかけ離れた業績予想になると、それが今後のコンセンサスになって、実際会社側が上方修正したときに織り込み済みになってしまいます。アナリストにも疑心暗鬼の心は必要だと思いますし、疑心暗鬼は相場を長持ちさせます、もうはまだなりと・・・。

 こんなときは一旦、指数の売買に徹するか、個別で業績が今後も伸びそうな銘柄を選別する必要があります。日経平均は上がってるけど、持ってる銘柄は上がんないんだよね・・・と、これはひと相場の末期に起きる現象です。私が証券会社に入社した当時、全体に投資するとなると、日経平均に連動するインデックス投信ぐらいしかなかったです。今は日経平均先物やETF、オプションなど取引手法のバリュエーションが豊富ですから、使わない手はないですね。 それと、個別の業績重視も良いのですが、長期的に低迷し続けていた銘柄もよさそうな気がします。3月から同じ月足5陽連でも、長期低迷相場を経過したあとの5陽連のほうが信頼できます。一時的に下がったものよりも、上昇をはじめたら長くゆっくりと、力強く上昇を続ける傾向にあるからです。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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