3連休が終わりましたが相場の方はどうでしょうか。米株は相変わらず強いですね。21日までのNASDAQは10日続伸で連日の年初来高値更新。また、S&P500やダウ平均は一気に直近6月高値を更新する動きとなりました。テクニカル指標では、ダウ平均が7月7日に陰転した新値10本足が20日には再び陽転するほどの動きです。
 材料不足のなかで足元の米株急伸に戸惑う市場参加者は多く、その影響を受けやすい日本株の見通しにも大幅修正を迫られる可能性が出てきたと思いますよ。

 一方、東京市場は政治的空白や決算発表を前に様子見ムードで商いは増えない。だからといって上値が重いという表現は適切ではなく、戻り売りをこなす段階であることから、上昇スピードが鈍いだけの話。確かに、米主要3指数が安値を付けた3月9日から7月21日までの上昇率をみると、NASDAQ の51.0%を筆頭にS&P500は41.0%、ダウ平均が36.1%と続く一方で、日経平均の3月10日安値から7月21日までの36.8%、TOPIXに関しては3月12日安値から28.6%にとどまっていますので、そういった意味では日本株全般が相対的に出遅れているようにも映ります。ただ、各指数には過去の高値や安値を付ける過程でのそれぞれのリズムを形成しており、ある同一時点からの相対パフォーマンス比較で出遅れというのも限界があるように思います。日経平均やTOPIXは6月12日高値まで買われたあとの調整局面にあるということですね。

 例えば、シンプルに200日移動平均線からのかい離率だけで日経平均とダウ平均の動向を見比べてみた場合でも、6月12日高値を付けた時の日経平均の同線からのかい離率が10.5%まで拡大したのに対し、ダウ平均のかい離率は2.4%にとどまっていました。
 株価が移動平均線を上回っていても、移動平均線自体が下降しているといずれ下に押し戻される傾向になりやすく、かい離率が大きければ大きいほどその反動も大きい。日経平均の13日の安値9050円までの調整はまさに上げ過ぎの反動の動きでしょう。一方、ダウ平均はそのあとも200日移動平均線からは2.0%前後の推移にとどまり値固め(日柄調整)をした分、逆にそれが足元の上昇の原動力になっているんだろうと思います。微妙にリズムが違うんです。

 以前に書きましたが、米国では200日移動平均線は比較的重要視されており、日本でも同様に過去の相場のターニングポイントになっていることが多いです。1991年、1992年、1995年、1997年、1998年の安値からの反発パターンはさまざまですが、下落基調の200日移動平均線を上回りさらに株価は上昇するも、いずれのケースもその後調整を余儀なくされたということ。今回の6月12日高値からの下落もまさにその力が作用したものです。
 日経平均の200日移動平均線が横ばいから上昇に転じるのは、株価が現在の位置をキープできれば8月上旬頃です。一方、ダウ平均を始め米主要指数には高値警戒感が出てきており、いずれ東京市場は米国市場にキャッチアップしていくことになるのでは。

 日経平均はダブルトップ(6/12と7/1)を形成したあと、13日安値9050円を基点に切り返す動きとなりました。通常は下落トレンド継続パターンであれば、ネックライン(ダブルトップが確定した水準)まで一旦反発したあとは、再び下げが加速するケースも多いものです。ネックラインは日経平均だと6月23日安値の9511円、TOPIXなら897P程度。 
 両指数とも21日の上昇で同水準を上回っており、少なくともダブルトップからの下げが継続する可能性は否定された?・・・と思っています。

 過去の波動を参考にすると8月中旬あたりに変化日が集中することからも、中段もみ合いの株価パターンを形成しながら200日移動平均線の上昇を待って騰勢を強めた1995年型の株価パターンの可能性もあると想定しています。 日経平均の4月から6月までの騰落率はプラス22.7%と2ケタ上昇しました。7月から9月のパフォーマンスは、新年度相場の反動もあってか悪化する傾向にありますが、1970年以降で4月から6月までの騰落率が2ケタ上昇したケースだけを見ると、続く7月から9月のパフォーマンスは逆に堅調なケースが多い、と前回紹介させていただきました。
 この先、中段もみ合いから上に放れるパターンともなれば、6月12日高値から7月14日安値までの下げの倍返しの水準である11200円処から、昨年3月安値である11700円処までの上昇が見込めそうです。特に11200円処の水準は、2006年6月安値から2007年7月高値までの上昇幅を、今年の3月安値を基点に上昇させた水準にほぼ合致するため、中期波動面からも重要な水準になります。
東野幸利

株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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