先手必勝という言葉はいろんなところで使われますが、トレード(売買)の観点でも重要になると思います。
 野球のピッチャーでチームに先に点数が入ると、ピッチングが強気になったり、急に制球力がよくなったりして、完投勝利などといったケースは珍しくありません。点数が入った次の守備でノーアウト満塁のピンチになっても、いかにして最小点に抑えるががピッチャーの仕事でもあります。
 株式のトレード(売買)でも同じです。先に勝つことで精神的に楽になります。リスクがとりやすくなって、利益が積み上がっていく人もいるでしょう。リスクの代償がリターンとして返ってくるケースですね。変な話、最初に勝てば、次の勝負ではその分までは負けてもいいわけですから。ただ、そうはいっても損は続くものです。リスクをとる恐怖心をコントロールしながらも、損失を最小限に抑えなければトータル面の損益は改善しません。

 それには、早めに手じまうクセをつける以外に方法はないでしょう。おそらく・・・。
 その分、利益は出来るだけ大きく伸ばさないといけません。売買の勝率も重要ですが、それ以上に損益率がより重要です。しかしながら全体のうちで、そんな
上手な取引ができるのはほんの少しの割合でしょう。その売買チャンスで利益をどれだけ伸ばせるかがポイントになるのです。
 さらに、ポジションを積み上げながら、利益を伸ばすといった取引はプロでも難しい。わかっていても、これができないんですよね。

 買って思惑通りに上昇しても、早めに利益を確定して1勝を取りたい気分になるものです。勝てる試合を積極的に追及せず、リスク回避に重点を置いてしまうわけです。でもこれだと、運用成績は向上しません。マインドコントロールが必要です。相場のいいときなどは利を伸ばすチャンスがたくさんあります。 ディーラーで、買って上昇した株価を見ていると売りたくなるので、買ったら直ぐに部屋の外に出てタバコ一本吸って帰ってくるぐらいがちょうどいい(利幅がより伸びているといった観点から)~なんて言っている人もいましたが・・・。それは期間が少々長くなっても、好環境の相場のときはできるでしょうね。

 「利は待ち、損は早く」、これを守ってみてください。手数料が激安になった今だからできる技なのかもしれませんね。「利は早く、損は待て」なんかしていると、損失が積み上がって取り返しがつかなくなってきます。自分でもわかっているけど、売ることを認められない部分が心のどっかにあって、結局売れなかった・・そうなる前に早めに売るべきだった・・・となるのです。 立て続けに損が続けば絶望感にとらわれてしまい、やり始めのときは大きな損失幅だったのが、累積損失が大きくなると同じ損失幅でも小さく見えてくる。さらに損失が増えるといった悪循環ですね。わたしも経験がありますが、そんなケースでは損失を完全に埋めきるまでは利益を出せる状態にはおそらくならないと思います。

 また、コストを下げるためのナンピン買いは禁物ですね。特に逆張りナンピンはもっとダメです。将来上昇するとの見込みから買いと判断をし、買っては見たものの全く逆方向に動きが継続する。これは判断が間違っていたことであり、それを素直に認めることが重要です。"長期投資だからそのうち戻るでしょ"と塩漬けになるまで持ち続ける人も多いですが、よくありません。持ってて戻るケースもありますが、それも利が回復するまで待てなくて、ある程度戻ったところで売ってしまう。戻ったということはそれなりに全体相場も上昇しているわけで、売った代金で別の銘柄を買うとなると、当然それも大体いい水準まで上昇しているものです。

 最後に勝ち負けも重要ですが、どうやって取引したかの経過も重要です。その経過を振り返ることによって、その後の取引に影響を与えるでしょう。何故、失敗したのか、振り返らないと間違った理由を学習することはできません、その積み重ねが相場観になります。
 例えば"よくそんな安値で買えたね、偶然じゃない"とか、"よくそこまで持ち続けてたね"、"よく損切ったね"などとよく聞きますが、本人からすればそれは経験の積み重ねで養った相場観が元になってたりするものです。 テクニカル指標で安値圏と見えても、最終的に売買判断するのは本人です。テクニカルは教科書通りに機能しないケースもよくありますが、その教科書通りになるかならないかを判断するのが重要で、経験という相場観が最後にものをいうようになるのでしょうね。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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