今回はマーケットプロファイル(MP)分析についてお話いたします。以前、マネックス証券ではオンラインセミナーで紹介させていただきました。
日経225ミニを取引される方は、是非どんなものか知っておくだけでも、日々のマーケットを見る上で役に立つと思いますので、少し難しいですが読んでみてください。
そもそも、日経平均先物は一日どれだけの値幅変動があるかといいますと、2004年からの値動きをみると、大体200円前後ぐらいでしょうか。2006年以降では220円前後になりますが、足元は縮小傾向にあります。今月21日までは8日連続で日中取引の上下変動幅(高値と安値の幅)が150円以下にとどまっています。これだけ変動幅が小さくなるのは2007年7月11日ぶりなのです。2007年からの下げ相場の基点になったあたりですね。
広いときもあれば狭いときもあるのは当然ですが、この値幅の認識はMP分析にとっては重要な概念です。ロスカットの設定、利益を確定させるという意味でですね。
MP分析はマーケットの時間を30分ごとに区切って、各価格帯における出来高分布によってその日の本質的な部分を見出し、それを売買のサポートやレジスタンスにしようとするものです。
9時~9時29分をA時間、9時30~9時59分までをB時間といいまして、その二つあわせた時間帯をイニシャル・レンジ(IR)といい、その日のデイトレの基準とします。
10時以降、そのIRをどちらか上下にブレイクするとその方向に順張りポジションをとる。
ただし、必ずブレイクするとは限りません。そのような時はIRの上限で売り、下限で売りといった逆張りポジションをとったりします。
詳しくいきますと、日経平均先物の場合、9時から取引終了時間までの30分ごとをAからIまでのアルファベットで順番に表示します。9時~9時29分までを A時間 、9時30~9時59分までをB時間 と・・・。その取引開始後1時間の値動きで形成される範囲がイニシャル・レンジ(IR)です。マーケットのオープン直後は市場参加者が多いため、その時間帯に取引される価格の持つ意味は重要という考えを基に、その日のデイトレの基準として利用するわけです。
9時~9時59分までの間で形成されるIRのアルファベットの積み上がり方で3つの基本パターンに分かれます。詳細は除きますが、そのパターンによってIRを上下に抜いたときの戦略が異なるわけです。
例えば、10時にIRができたあと、そのレンジを下に抜いたとします。そしてターゲット価格というものが決まりますが・・・。例えばIRが90円(9410円から9330円)で、仮に10時以降9320円を付けたらブレイクが発生し、そこからさらに90円下がった水準をターゲット価格とします。このケースですと、9240円(9330円-90円)がターゲット価格になります。
ターゲット価格の10円手前や達成後には一旦逆方向に動く(達成感もあると思います)ケースが多いので、売りや買い戻しのタイミングと判断することができますが、勢いが強い場合はさらにそのまま順方向に伸びるケースがあります。
もちろん、IRを終日抜けないケースもあります。抜けるまではIRの上値抵抗(レジスタンス)近くで売り、下値支持(サポート)近くで買いポジションをとる逆張り戦略が有効になったりもします。その時は抜けることも想定してストップロス対策も講じるのが得策ですね。
そして、一日の取引がターゲット価格を達成することによって、名目的にはその日の取引は終了です。デイトレ手法ですから・・・。
ただ、それだけでもありません。大引け後のアルファベットの積み上がり方によって種類が大きく3つに分けられます。一つは、ノーマルデーといいまして典型的なベルカーブを描く形状です。日経平均先物では営業日の70%程度はこのタイプです。正規分布を表していまして、その日の中心に近い部分ほど出来高が多くなる形状です。 あとは、ベルカーブが2つあるダブル・ディストリビューションというものや、寄付きから価格が一方向に動いた場合などにアルファベットが平坦に出現するトレンドデーなどの形状もあります。2つともトレンドの転換点によく出るパターンですですから、デイトレといっても、その形状が日々よく出るようになると、トレンド転換を疑ってみるといった発想も出てくるわけです。
あと、もっと乱暴な使い方ですと、ノーマルデーが70%の確率なわけですから、前場段階のアルファベットの積み上がり方によって、後場の積み上がり方、つまり値動きの範囲を予測することもできるわけです・・・でもこれは慣れが必要です。何でも使い方次第で有効になりえるわけですね。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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