株式市場は年金買い・株価対策期待しか下支え効果となる要因がなく、まだまだ不安定な状況にありますが、環境関連や介護関連、また中国関連で建機、鉄鋼など物色対象が徐々に広がりつつあります。そういった点では昨年後半の急落以降、全般的に日柄調整の終了は近い?といった状況にあると考えることが出来るかと思います。少し無理やりすぎますけど。
でもそれだけ好材料に素直に反応できるくらい、売り物がなくなってきたということなのです。例えばAとB銘柄、同じパワーの買い物があっても、売りがそれなりに多い方は上がらないですよね。年金買い、外人買いでも上がるとは限らない。上がっているというのは売りがなくなってきているということです。好材料に反応できないのは売りが多いからです。こんな良い材料があるのに何故上がらないの?それは売りが多いからなんです。
好材料に素直に反応できるというのは、それなりに売りがなくなってきたということです。また、徐々に日時が経つにつれて売りたい人は少なくなってきますよね。これが日柄調整の原理です。バブル高値後の急落で90年10月安値から再び立ち直るまで82日間程度かかっていますので、そろそろ今回も日柄調整は近いのではと・・・。私は昨年10月安値から98日程度(昨年6月高値から10月安値までの日数)かかると思います。
ところで、国内市場が米国株安の影響を受けるのはわかるのですが、どうせ、年金買いがあるから戻るだろう・・・などと最近安易に考えてしまいます。日経平均の7000円を死守するかのように年金資金の買いが入ってきますが、結局ルール通りの買いで終わってしまいそうな感じです。
そもそも年金の運用基本ポートフォリオは中期目標に基づき、配分比率が決まっております。予定運用利回りは3.2%とされ、それに基づいて各資産(国内債券67%、国内株式11%、外債8%、外株9%、短期資産5%)に比率分けされているのです。
ただ、価格変動のため運用基本ポートフォリオで定めた構成比率から多少のかい離が生じます。かといって、かい離を縮めようと売買を繰り返すとコストがかさむため、ある一定の許容範囲を決めています。国内株式はプラスマイナス6%ですから、5%から17%ですね。結構な許容幅です。
株価が大幅に下がるとある水準を維持するために株を買い増すわけですが、上をどんどん買っていくような買い方はしません。安くなったら買うだけでマーケットにとっては下支え要因にしかなりません。そういった意味では外人の存在は大きいですよね。外人は上を平気で買ってきます。なので、外人買いが入るなどとの思惑で株価が上昇したりするわけですね。ただ今はもうそんなパターンはすくないですかね。乗数効果というか、他の人がついてくるような買い方をする投資主体でなければいくら買っても効果はありません。
次に政府の株価対策です。「銀行等保有株式取得機構」の買い取り再開が昨日の参院本会議で成立しました。買い取り枠も過去の2兆円から20兆円に大幅に拡大し、買い付け対象も拡大しました。さらに自民党内では取得機構による買い取り対象を市場に流通する株式や上場投資信託(ETF)などに広げる案が出ているようです。詳細はまだわかりませんが年金よりも瞬間的な期待度は高そうです。どんな買い方をしてくるのでしょうか。
上をどんどん買ってくる性質のものであれば乗数効果は多少あるでしょう。そうなるとアナウンスメント効果も大きくなると思います。ただ、バブル崩壊後も株価対策は何度もやってきており、今回も一時的な効果に終わるのでは、といった冷ややかな見方も少なくありません。
確かに、株価低迷が続くなかで株価対策をやってきましたが、数年後には再び安値を更新するあり様。そうりゃそうですよ、株価対策は逆張りですもの。逆張りというのは相場が下げている途中で値ごろ感の買いを入れることです。トレンドに逆らった買い方ですね。マーケットは嘘つきません。起きていることはすべて正しく、マーケットは常に正しいのであって、相場に逆らった買い方をしても効果は一時的に終わるでしょう。金額の大小によって反応は瞬間的に異なると思いますが・・・。
少し違う発想でいきますと、これまでやってきた株価対策はタイムラグはあったものの相場を上に持ち上げる効果が多少なりにもあったので有効な手段だったのです。でもそもそもマーケットは人為的に操作できるものではありません。結局は"神のみぞ知る底"本当の安値ではなかったから下げ止まることができなかったのです。
今回も効果があるかもしれません。でもそれは数十年経ってからしかわからないでしょう。バブル崩壊後の"神のみぞ知る底"本当の底であれば効果はあるはずで、そうでないならば今回も一時的な効果で終わるでしょうね。仮に、いずれバブル時の高値を抜いて安値を振り返ったとき、チャートを見たときに、"あ~、やっぱりあの時の株価対策が効果あったんだね"というふうになるかもしれません。
東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ
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