信じられないほど考え込みました。21日の取引終了後から翌日22日の取引開始直前まで・・・。何をそんなにと思われるでしょうが、実は全然大したことはないのです。
 日経平均の21日まで続いた3つの陽線(通常白いローソク足)は、酒田五法でいう、下落過程の売り乗せシグナルとなる"下げ三法"となるのか、底値圏での強い買いシグナルとなる"赤三兵"となるかどうか?ということについて考えていました。考えなくても、結果は22日になれば分かることなのですが、仕事癖だからしょうがないのでしょうか。周りの人の話はうわのそらでした。
 簡単に"下げ三法"と"赤三兵"を説明しますと、下げ三法は相場の下落トレンドにおいて、ダメ押し的な長い陰線(通常黒いローソク足)が出現するのですが、翌日以降の3日間は小さな陽線を形成しながら上昇するパターンです。ただ、それだけではないのです。その3つの陽線がすべて、直前の長い陰線のなかに入った状態になっていないといけません。つまり、3日間もってしても陰線の高値と安値を上にも下にも切らないパターンです。そして、その翌日、安くスタートして下にだらっと、陰線を形成するパターンですね。
 酒田五法の"三山、三川、三空、三法、三兵"のうちの三法で「3日間ぐらいは休みなさい」という意味です。休みなさいというのは、下落トレンドではアヤ戻りという認識ですね。

 "赤三兵"は単に長期間下落が続いたあとに、小さな陽線が3つ並ぶケースです。
 日経平均のチャートを実際に見ていただきたいのですが、21日取引終了の段階で、どちらか判断できますか。要するに買いか売りかです。
 実は私は、絵柄から判断して"下げ三法"よりの考え方でした。でも、そこで邪魔をしたのが、TOPIXの動きでした。
 長い陰線のあと、陽線が3つ続くケースはそんなに珍しくないのですが、反発力の強さを見るためには、3日目の上昇(陽線)で長い陰線の高値を上回っていないといけないわけです。日経平均は21日の段階で上回っていなかったので、明日から反落かな?とも考えていたのですが、TOPIXのほうは既にそこを上回り、さらに直近15日高値をも上回っていました。強いの?と思ってしまったんですね。日経平均の弱い絵柄とTOPIXの強い絵柄とどちらを優先して考えるか、その綱引きですよ。日経平均とTOPIXが違う動きをするのはよくあるケースですが、相場の転換点にもなりうる局面でしたから相当悩んだわけです。 日経平均を優先して考えた場合、翌日から急落。TOPIXを優先して考えた場合、10日と16日安値とで二番底が確認できTOPIXは1060Pから1070Pまでの戻り。日経平均で10800円まではと・・・。私では見分けが付かない弱いシグナルがあったのでしょう。

 日経平均は今日も安値を更新してしまいました。昨年6月高値から今年の3月安値までの下げ幅を今年6月高値からの下げとした7995円にほぼ接近してきました。"下値メドはあてにならない"という人がいる、と前回書きましたが、懲りずに検討しております。
 理由が何であれ、昨年高値からほぼ全値押しするほどの下げは危険、とも判断しておくべきですね。そうしないと下がった時の対処ができません。マーケットに参入するときは上がることばかり考えずに、同じ確率で下がることも考えないといけないと思います。

東野幸利
株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ

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