バブル崩壊以降、"失われた13年"を経験した日本市場、だからこそ、日本市場のアジアにおける相対的な優位性がこの何年かの間で注目される可能性が高いと考えています。そしてそれは、欧米市場に対しても日本市場がアウトパフォームする可能性を意味しているような気がします。

 NYダウは1966年から1982年の期間、「株式の死」と呼ばれた横ばいのレンジ相場を上方にブレイクして以降、実は長期上昇トレンドは継続しているという見方ができます。
 1995年以降に上昇スピードが加速して以降、10000~11000ドルの水準は最も滞留期間が長い価格帯でもありますが、7月には11000ドル前後をサポートに反発の動きとなったことで短期的な下値は確認できたのではないでしょうか。 トレンドを見る上で重要な指標の一つに10年移動平均線があります。NYダウ、日経平均株価ともに10年移動平均線近辺での動きとなっていますが、特にNYダウに関しては、株価が10年移動平均線の上方に位置していることに加え、8月は同線の上昇は切り上がることになります。ちょうど下から上に押し上げられるような形で、上昇してきてますよね。

 ただ、理由がどうであれ2007年10月高値からの急速な下げに対する戻りはかなりの時間を要することになると思います。2009年7月ごろまでの中間反騰から、2010年2月ごろにかけて二段目の下げに入るという認識で、その後は、2010年2月ごろを基点として、2014年から2015年にかけて史上最高値(2007年10月高値)を更新する波動転換とみています。

 一方、日経平均は2007年7月高値からの調整は、今年3月安値11691円で終了。当面は調整は続くと思いますが、米国市場と同様に2010年2月は重要な変化月(2008年3月安値に対する83か月周期の応答日など)でもあり、それを基点に中勢3波目の上昇に入るシナリオが考えられます。つまり、米国株式と日本株式は今後も強い連動性を保つのではないかと思われます。

 よく言われる話ですが、過去100年間を振り返ると、日米株価はほぼ35年~36年周期で逆相関の相場となっています。1920年代を通じて日本弱気・米国強気、1960年代後半から1980年代前半は日本強気・米国弱気、そして1990年代を通じては日本弱気・米国強気相場でありました。そして今度は日本強気・米国弱気の逆相関になるとの指摘が多いですよね。たいていは、辿ってきた波動が日米異なることから、お互いのその後の波動転換により逆相関になるとの見解が多いのですが、今後ますます資本流出入が各国間で大きくなってくることが予想されるなか、中長期的にアウトパフォームする局面はあったとしても、逆相関の動きは想定できるものではありません。
 米国内の景気の現状やNYダウの高値圏での激しい値動きなどからバイアスが下方に傾きやすくなっていますが、NYダウの史上最高値更新の動きは上昇相場では最も強いとされる中勢上昇3波目の日経平均と同じ時期に当てはまる可能性が十分に考えられると思います。

 ドイツのDAX指数も含めて、10年移動平均線からのかい離率をみた場合、2006年以降は連動性を強める動きになっていることに加え、ゼロライン(10年移動平均線とのかい離がなくなる状態)で収れんする動きとなっています。1980年代前半にもそういった局面がありその後上昇しましたが、ゼロラインに収れんする動きはどちらかに大きく動きだす兆候と捉えることも出来るかと思います。
 10年間の平均値に戻りつつある世界の株価指数は2010年を基点に大きく動き出す転換局面に差し掛かっており、なかでも日経平均はベア相場(ゼロラインを下回る)からようやくブル相場に入り込んだレベルでもあり、長期休養十分、欧米市場に対してもアウトパフォームを示唆しているように思います。

(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)

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