GSユアサや古河電池などの環境・エネルギー関連株物色に続き、昔、仕手株として賑わった兼松日産農林や鈴丹までが値上がり率上位に入ってきましたね。私が証券会社に入社したのは91年の4月。その当時、仕手株動向は一旦沈静化している状況だったので、あまり仕手株乱舞の記憶はありません。
 当時、パソコンは一人一台もありませんでした。4人、5人が机をくっ付けて、そのまんなかに株価を見ることができる端末が一台あるぐらいでした。鮮明に覚えているのは先輩方が商いをした仕手株「本州製紙」や「東急」などの売買の記帳のあとだけ。

 私が入社して以降、仕手株といわれる中で最も大きい相場になったのが、実は「兼松日産農林」でした。95年~96年の話ですね。80年代に「誠備グループ(投資家集団)」を率いた加藤氏が手掛けた銘柄です。それよりもずっと前ですと、「宮地鉄工所」や「本州製紙」なども有名(私は知りません)ですよね。「兼松日産農林」を手掛けられたのは1995年に「新しい風の会」を設立してからです。私もその会に一度参加した記憶が・・・あります。若輩の私にとっては要するに憧れの人。誘われたときはうれしくて興奮したのを覚えています。同期に自慢できたんですよ(笑)。話し方が非常に上手な方で説得力がある。私は証券会社の人間でセルサイド、顧客からの注文を受ける側だったので、仕手株の手掛けるメカニズムなどを勉強させていただきました。
 株価は95年の400円どころから、個人投資家や証券会社、証券マンが参戦して、途中売りを吸収しながら、96年には5310円まで上昇した株です。長い期間だったですね。何度、相場が終わったと思ったことか。バブル崩壊後、日経平均が大きく戻した時期と重なりましたが、私にとって印象に残っている銘柄です。 その後は「井筒屋」などもそうだったと思います。

 しかし、相場に方向感がないですね。そういったなか、仕手株・材料株相場が幕あいつなぎ的なものになっています。投資家の心理も強気と弱気がほぼ拮抗している状況です。私が所属している会社では前場の終了段階で、後場終値が前場終値に比べて「アップかダウンか」などといったアンケート調査を市場関係者向けにやっているのですが、不思議とその時のマーケットの状況と一致します。今のように上か下か、どちらかわからない状況では、「アップ」と予想される方と「ダウン」と予想される方がほぼ同じ数になります。
 現在は後場取引時間中。昨晩のオンラインセミナーでは、「日経平均の"赤三兵"後の動きに注目」といいましたが肩透かしの状態です。"十字足"の転換シグナルになるような気もしてきました。そこから、上下どちらかに振れる動きになるのでしょうか。

(株式会社T&Cフィナンシャルリサーチ 東野幸利)

-----------------------------------「トレーダーズ・プレミアム」は、個人投資家の心強い味方です!!
http://www.traders.co.jp/service/goods/premium.asp -----------------------------------