今週はイベント目白押しだが、まずは先週金曜日の米国市場の動きに対する反応から。先週末の米国市場のポイントは前日に続いてハイテク株が売られたこと、特にアップルが大きく下げた点と、米国の長期金利が約4年3カ月ぶりの水準に上昇したことだ。

前日は半導体関連株が軒並み安となったが、そのきっかけとなった半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の売上高見通し下方修正からiPhoneXの販売不振観測が広まりアップルは4%超の下落となった。週明けの東京市場も、アップル関連銘柄を中心に半導体・電子部品株の軟調が予想される。しかし、東京市場は先週金曜日にかなり大きく半導体関連株が下げており、相当程度織り込まれていると思われる。また、金曜日の東京市場は、一時日経平均がプラスに転じたように、ハイテク株が売られても内需系が買われて相場全体では底堅かった。金曜日のNY市場では金利上昇を受けて金融セクターは上昇している。週明けの東京でもメガバンクや生保などが買われて市場を支えるだろう。

今週の最大の注目は27日に板門店で行われる南北(韓国・北朝鮮)首脳会談だ。北朝鮮の金正恩委員長は朝鮮労働党の中央委員会総会で、核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射の中止、核実験場の廃棄を発表した。着実に和平路線を進んでおり、南北会談では歴史的な和睦が実現するかもしれない。朝鮮半島の地政学リスクの緩和は、無論、日本株の市場にとってプラス材料である。

日欧で金融政策会合もある。26日はECB政策理事会が開催される。前回はフォワードガイダンスを変更したが、ECBの早期緩和縮小ムードは後退している。一時は「サプライズ」といわれたほど良かったユーロの景況感が足元では悪化が目立ってきているからだ。その意味で注目は23日に発表されるユーロ圏のマークイットPMI。3月はユーロ高や金融市場の混乱の影響から2ヶ月連続で低下していた。翌24日にはドイツでIfo企業景況感指数が発表される。前回3月の数字は4ヶ月連続の低下だった。これらの景況感指数を受けてのECB政策理事会だ。ドラギ総裁の会見に注目したい。

日本でも26-27日に日銀金融政策決定会合が開催される。4月会合となる今回は経済・物価情勢の展望(展望レポート)が公表される。先週発表されたコアCPIの前年比は予想通りとはいえ再び1%を割り込んだ。円高もあって物価が伸び悩む中、日銀による消費者物価の予想が下方修正されるか要注目である。27日は鉱工業生産。1月の大幅な落ち込みの後、2月の戻りが鈍かっただけに、季節要因が払しょくされているか3月の数字を注視したい。

米国の経済指標は27日のGDP速報値。1-3月期は月次の小売データに表れたように悪天候と税還付の遅れで消費が伸びず、GDPの伸びは鈍化するだろう。但し、予想の範囲内であれば過度な市場の反応は限られる。

そうした政治、金融政策、マクロ指標に加え今週は決算発表が日米ともに本格化。米国ではアルファベット(グーグル)、アマゾン、フェイスブックなどの主力ハイテク銘柄のほか、キャタピラーやボーイングなどのグローバル景気敏感株の大所が決算を発表する。日本は24日の日本電産から実質スタートで週末にかけて決算発表シーズン前半の佳境を迎える。リスク回避姿勢が緩和され円高の懸念も薄らいでいる時期に決算発表シーズンが巡ってきたことは幸いである。会社側が発表する今期の業績に対する警戒感が強かっただけに、ダウンサイドへの備えはある程度できているので、反対に「意外に堅調な決算と今期計画」との認識が広がれば(そしてそうなると期待するが)相場の上昇要因になるだろう。

GW入りを控えてポジション調整も出そうだが、株価の位置が低いのでポジティブサプライズにも備えたい向きもあろう。GWの連休中の谷間は高いというアノマリーもある。売ってくる向きは限られ、相場は堅調に推移するだろう。

予想レンジは22,000~22,800円とする。