先週木曜日の東京市場引け後から、日本が「山の日」の祝日で休場だった金曜日にかけて、株・為替とも海外で大きく動いた。週明けの東京市場は、どこまでこの海外の動きを反映して始まるか読みにくい。
欧米市場は木曜日に急落し、NYダウ平均は200ドルを超える下げとなった。ドル円も109円台前半まで円高が進行。翌11日には108円台をつける場面もあった。一方でNYの株式市場は落ち着きを取り戻し、とりあえず小反発して取引を終えた。日経平均先物の動きを見ると、大阪市場の夜間取引は19,350円で終っているが、その後も取引されていたシカゴCMEの先物は19,395円とNY株同様、小幅に反発して終えている。
しかし、そもそも一番初めに強烈なリスクオフの反応を示したのは9日の東京市場であり、10日の東京時間帯以降で北朝鮮を巡る緊迫化した状況に大きな変化はない。つまり海外市場の反応は東京市場に遅れて(タイムラグを伴って)起きたリスクオフであり、それにまた東京市場が付き合って連れ安するのは本来、合理的とは言えない。
膠着相場が続いてきたため、ボリンジャーバンドの幅が極端に縮小している。そのため大阪市場の夜間取引でつけた19,350円は、マイナス3.5シグマという異常値である。昨年の英国EU離脱の際の安値でマイナス2.9、米国大統領選の結果が判明した11月9日の安値でマイナス3.4シグマだった。さすがに修正される動きが出てもおかしくない。
北朝鮮情勢にはそれほど大きな変化がないが、米国の消費者物価指数が低調だったためドルが軟化した。これは先週木曜日の東京市場引け後に加わったドル円の悪材料で、この点は確かに日本株の重石になる。そう考えると、日本が休場だった間の先物の動きを額面通り受け止めるのは行き過ぎとしても、木曜の時点から1円程度円高に動いたドル円を反映すれば週初は19,500円程度からのスタートではないかと思われる。一目均衡表の雲の下限が19,430円。売られてもその辺りまでが下値だろう。月曜日の朝に発表される4-6月期のGDP速報は良好な数字が見込まれており、実際にその通りとなれば、より堅調なスタート(例えば19,600円程度)となることも期待される。
決算発表も一巡し今週は手掛かり材料に欠ける。主なものとしては中国の鉱工業生産・小売売上高・固定資産投資(14日)、米国の小売売上高(15日)、FOMC議事録(7月25・26日開催分)程度である。
土曜日の日経新聞は4~6月期決算を受けて上場企業の業績上振れという記事を掲載した。2018年3月期は純利益が前期比13.6%増になる見通し。期初の見込みを3ポイントほど上回り、2期連続で過去最高になると報じている。売上高純利益率は4~6月期に5.3%と過去最高の水準で、今期の売上高は5%増の見通し。増収増益になれば3年ぶり。絶好調の企業業績をもとに、日経平均のPERは14倍を割り込んでいる。さすがに押し目買いが入ってしかるべきだろう。
来週にジャクソンホールのシンポジウムを控えて様子見機運が強いなか、北朝鮮情勢に変化がなければ、急落した分を徐々に取り戻す展開を予想する。一目均衡表の雲の下限の切れ上がり(19,430円⇒19,572円 ⇒19,592円⇒19,731円)に沿うような値動きか。よって今週の予想レンジは19,400円~19,800円とする。