日米ともに決算発表が本格化する。国内では28日に300社超が決算を発表し前半戦の佳境を迎える。米国では週初からアルファベット、週央にはフェイスブック、インテルなどハイテクの主力企業が決算を発表する。先週の東京市場では今期業績見通しを上方修正した安川電が大幅高となり幸先の良い決算シーズンのスタートとなった。FA関連としてファナックや三菱電機にも買いが波及したが、あくまでも局地戦。相場全体の地合いを好転させるには至らなかった。今後も同様の流れだろう。
経済指標で最重要なのは、週末に発表される米国の4-6月期GDP(国内総生産)速報値。堅調な個人消費と住宅市場が成長をけん引し前期比年率+2.6%と市場では予想されている。重要イベントとしては25-26日にFOMC(米連邦公開市場委員会)が開催される。6月に利上げを決めたばかりで、今回は政策の変更はないというのがコンセンサス。声明文でバランスシート縮小などが示唆される表現が盛り込まれるか、一部に注目する向きもあるが、今回イエレンFRB議長の記者会見は予定されておらず、市場と丁寧な対話もできない以上そうしたことはないだろう。声明文ではインフレに対する見方が変更されるかどうかがポイントだろう。結局のところ今回のFOMCは大過なく無風で通過すると思われる。
今週は日米ともに政治リスクを警戒したい。24、25日には衆参予算委員会の閉会中審査がある。学校法人「加計学園」の獣医学部新設を巡る疑惑について、閉会中審査で安倍晋三首相が選定プロセスを説明する。ポイントは急落した内閣支持率が回復するか。果たしてどうか見守りたい。国内の政治を巡る不透明感は8月3日の内閣改造まで続くのではないかと思う。
米国ではスパイサー大統領報道官が辞任した。政権発足から半年という短期間で報道官が交代するのは異例で、政権内の亀裂が浮かび上がったと報じられている。そんな中、トランプ大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏と元選対本部議長マナフォート氏を招いて26日に開くことを計画していた公聴会が先送りされた。報道によると、両氏の申し出に基づく先送りで、今週中に2人から非公開の聞き取りを行った上で、公聴会の日程は改めて調整されるとのこと。一方、大統領の娘婿のジャレッド・クシュナー大統領上級顧問は24日に上院情報特別委員会で、25日に下院情報特別委でも非公開の聴取に応じることになった。先週もロシアゲート関連で様々な憶測が流れるたびに市場は動揺した。今週もロシアゲート関連で何が飛び出すか予測不能なだけに、急落もあり得ると身構えておくことに越したことはない。ただし、好業績と日銀ETFで下値は堅い。急落局面は押し目買いでよいだろう。
予想レンジは19,900円‐20,400円としたい。
- 広木 隆
- マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
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上智大学外国語学部卒。神戸大学大学院・経済学研究科博士後期課程修了。博士(経済学)。帝京平成大学・人文社会学部経営学科教授。社会構想大学院大学・客員教授。国内銀行系投資顧問、外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。2010年より現職。
テレビ東京「モーニングサテライト」、BSテレビ東京「NIKKEI NEWS NEXT」等のレギュラーコメンテーターを務めるなどメディアへの出演も多数。
著書:
『ストラテジストにさよならを 21世紀の株式投資論』(ゲーテビジネス新書)
『9割の負け組から脱出する投資の思考法』(ダイヤモンド社)
『勝てるROE投資術』(日本経済新聞出版社)
『ROEを超える企業価値創造』(日本経済新聞出版社)(共著)
『2021年相場の論点』(日本経済新聞出版社)
『利回り5%配当生活』(かんき出版)
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