今週の日本株相場は日経平均1万9000円台後半でのもみ合いが継続すると思われる。日経平均は25日移動平均が上昇トレンドにあり、75日移動平均を上抜くゴールデンクロスも先週達成している。下値は堅い一方、上値の2万円も近くて遠いと見られている。
日経平均が2万円をつける場面はあるかとの質問を多く頂戴するが、ここまで来たらあまり大きな問題ではなく、ちょっと相場が強気に傾けばあっさり2万円をつけることもあるだろう。但し、問題はその先に上値を買えるだけの材料があるかということである。2万円を買う投資家は、「日経平均」が欲しくてその対価に2万円を払っているのではない。より高い値段で転売できると思うから「日経平均」に2万円を払うのである。2万円を越えて、2万1000円程度まで上値の観測が高まってこないと、一時的に2万円をつけたとしても、2万円台が定着するのは難しい。
今週は月末月初に当たり、重要な指標の発表が目白押し。国内では6月1日に1-3月期法人企業統計季報が発表される。法人企業統計は毎回GDP改定値に影響する設備投資の状況が注目されるが、土曜日の日経新聞で今年度の国内設備投資の伸びが最高との報道があり、すでに終わった年度である1-3月期の数字は相場の材料にならないだろう。
それよりも米国の経済指標が重要である。30日に4月の個人消費支出、PCEコアデフレータ、31日はベージュブック(米地区連銀経済報告)、1日は5月ISM製造業景況指数、そして2日は5月雇用統計が発表される。注目点は大きくわけて2つ。ひとつはこれまで見られた弱い景気指標が一時的なソフトパッチ(景気のぬかるみ)かどうか。1-3月期は特殊要因もあったが、4-6月期の指標で持ち直しが確認できるかだ。その意味では5月ISM製造業景況指数がいつにもまして注目される。4月は2ヶ月連続で低下した。もうひとつのポイントはインフレである。最近FRB高官からインフレ率の上昇が鈍い点を気に懸ける発言が続いている。PCEコアデフレータと雇用統計での平均時給の伸びが注目される。
そのほかでは5月の全米自動車販売台数と、中国では政府版製造業PMI、財新版製造業PMI、ユーロ圏では5月CPIの発表がある。前回、ユーロ圏のコアCPIが前月の0.5%から1.2%へ大きく上昇したことが、ECBのテーパリング観測を高め、ユーロ高の背景となった。年初来のドル安は、その大半がユーロ高の裏返しであり、ユーロ圏のインフレが高まる一方、米国のインフレが鈍いと一段のユーロ高ドル安を通じて、ドル円でもドルの上値が重くなる可能性がある。
依然として最大の不透明要因はロシアゲート疑惑がどのような進展をみせるかである。その意味で近日中に行われるコミー前FBI長官の議会証言がおおきなリスクイベントとなるだろう。