先週からこのマーケット展望やレポートで再三述べている通り、今週は重要イベントが目白押しである。メディアでも多く報じられているので、ここではポイントのみに焦点を当てる。

まずFOMCだが利上げは織り込み済みで、今後の政策金利の推移を予想するドットチャートが上方修正されるかどうかがカギである。今年の政策金利の中央値は1.375%だが、あわせて2018年(中央値2.125%)やLong Run (長期見通し:3%)も変更されるか市場の注目が集まる。

FOMC声明文発表は日本時間16日未明の午前3時。オランダの総選挙は現地20時に投票が締め切られて開票に移り結果が判明するのが日本時間の朝から昼前くらいだろう。その時間帯が今週最大のヤマ場である。

前回のストラテジーレポートでは「政策金利の見通しなどでサプライズがあるものと期待している」と述べたが、その後発表になった雇用統計で賃金の伸びがそれほど加速していなかったことや、後述の予算教書などの状況を考慮して、サプライズなしをメインシナリオに置く。すなわち、FOMCで政策金利の見通しは維持されるというものだ。その場合、若干、失望でドルは売られ円高に振れるかもしれない。

続くオランダ議会選挙は、ウィルダース党首率いる自由党が第一党になるかが焦点だが、直近の世論調査では勢いが失速しており微妙だろう。メインシナリオは現連立与党の自由民主党が僅差で第一党となり、自由党は野党にとどまるというものとしたい。そうなれば、「リリーフ・ラリー」でヘッジの買い戻しが入り、仮にFOMC失望となってもそれで売られたドルは反発するだろう。結局、いってこいで114円台~115円程度のレンジ内の動きとみる。

予算教書は期待外れに終わりそう。ワシントン発の時事通信によると、スパイサー米大統領報道官は10日の記者会見で、2018会計年度の予算教書を16日に議会に提出すると述べた。今回は骨格のみで、税制改革などは含まれない。本格予算の提出は5月になる見込み。提出予定がさらに1日遅れたうえ、内容にも乏しく、相場の材料にはならない。

 

ノーマークだが、14日にはトランプ米大統領とメルケル独首相の会談が予定されているほか、この日は東芝が1カ月延期していた昨年10ー12月期決算の四半期報告書提出の期限を迎える。イベントが集中する15日を前にポジション調整を大きくするかもしれない。

結局、重要イベントが多いが、いずれも穏当に通過し、終わってみれば前週とあまり大きく変わらない水準で週末を迎えることになるのではないか。「いずれも穏当に通過」というのが、確率的にもっとも起きそうな「Most Likely」シナリオだが、だからこそ、そうならなかった場合の変動は想像がつかない。FOMCで利上げペース加速が示唆されたりすればドル円は116円台もうかがう展開になるだろう。オランダ総選挙で自由党が第一党となれば(連立を組む相手がいないので政権はとれないとしても)一時的にリスク回避の円高となって再び111円台もあり得るだろう。但し、そうなった場合は絶好の買い場であることはすでに経験・学習済みであろう。

こういうイベント続きの局面では、キャッシュポジションを通常より厚めにして、「半身」の構えで臨むのが良い。

日経平均の予想レンジは19,200円~19,800円とする。

マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆